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分析に関わる人たちは、「伝える」ことも重要な仕事です。チームや上層部、顧客に向けて、図解や文章で分析内容や課題を適切に伝えなければなりません。図解の重要さもありますが、今日は文章によるメッセージについて。相手に分析内容の理解とアクションを求めるには、情報を取捨選択して強いメッセージにする必要があります。一方で、ある程度の分析を行えば、多くの発見や事実があります。それらを「こういう側面もある」「この可能性もある」などと列挙すれば、資料の主旨はあいまいになり、アクションを起こしにくくなります。

多くの場合、資料に期待されるのは玉虫色の表現ではなく、指針が明確になったメッセージです。分析者は、情報を列挙する誠実さよりも強いメッセージを優先して、伝わる内容にまとめなければなりません。

先日、『新しい文章力の教室 – 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』という書籍を読みました。ポップカルチャーサイト「ナタリー」を運営するナターシャの取締役だった、唐木元氏による書籍です。この本の中で上記の話題が登場します。「誠実さとキャッチーさの相克」と本では表されています。少し引用してみます。


物事をほんとうに誠実かつ正確に伝えようとすると、必ず歯切れの悪い表現になります。(中略)全情報を羅列するか、濁し言葉でまとめるか、濁し言葉を削るか。(中略)完読してもらう原稿にするためには、情報を適切に取捨選択する必要があります。

分析をまとめる資料には、文章だけでなく、主張を裏付ける表データやグラフも盛り込まれます。目に飛び込んでくる文章はキャッチーでも、表データやグラフで正確な詳細情報を参照できるので、メッセージの根拠も提示できます。もし説明の場があれば、異なる切り口の情報も補足で伝えられるでしょう。

すべて伝えようとするのではなく、取捨選択して強いメッセージにすることです。多くの場合は次にアクションを起こしてもらうことが目的ですから、メッセージは強くあるべきです。情報の取捨選択も主観的で良いと思います。同じ分析結果でも、伝える人や伝える相手が異なれば、表現や内容はその場面に応じたものであるべきです。

そうわかっていながら、毎回「これでふさわしいのか」と悩むわけですけれども。

『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』唐木 元 著 インプレス

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