コラムバックナンバー
メールマガジン2014年11月12日号より 石井 陽子
私がこれまでWebサイトの仕事に関わってきた中、ここ数年の変化として感じているのは、多くのサイトにおいて定着率(継続的に訪問してくれる人の率)、たとえば一定期間内のリピート率や訪問頻度、訪問間隔といった数値が低下傾向にあるという点です。(特に、類似したビジネスが多いサイト、ファンという概念を持ちにくいサイトについてはそのような傾向にあるように見受けられます)サイト戦略を考える上で『ユーザーを囲い込む』という言葉をよく聞きますが、NAVERまとめのように複数サイトの情報がまとまっているようなものの存在や、めまぐるしいスピードで新しい(&似た)サービスができていくような今、ユーザーはひとつのサイトでニーズを満たしていくよりも、複数サイトを使いつつ、自分にとってより良いものを自らが取捨選択していく、というような行動が起きていて、その過程で選ばれなかったサイトにおいて定着率が落ちているといった現象なのだと思います。
つまり、私たちが運営するサイトの定着率を上げるためには、『ユーザーを囲い込む』ではなく『ユーザーに囲い込まれる(選ばれる)』サイトになっていなければいけない。そもそも、運営側が無理に囲い込み施策をしたところで、それがユーザーニーズと合っていなければいくらお金をかけてもどこかで捨てられるわけです。
今のユーザーには、かなり高い選定眼が備わっていると思います。
ある会社の事例です。
この会社のサイトでは、CMやイベントなどかなりの販促費をかけて会員登録を促しています。会員登録をするとXXがもらえるという特典も実施しています。
キャンペーン経由の登録完了率はなかなか良い成績です。しかし、2ヶ月目以降の再訪問率が著しく低い。
瞬間的に考えられることとしては、キャンペーンの選定をミスした(ターゲットじゃない人を連れてきた)といったことが考えられるわけですが、過去同じ媒体経由で登録した人の定着率が高いこともあり、その線じゃない何かがあるのではないかと考えました。
また、他の数値として得られたこととして、キャンペーンなどを経由しないユーザーは定着率が高い一方、会員登録自体を開始してくれない(登録案内画面までは行っている)ということも分かっています。
そこでこの会社では、その理由を探るために、定着している登録者とそうじゃない登録者に声をかけ、インタビューを実施しました。
結果分かったこととして、定着しているユーザーとそうじゃないユーザーとの違いが以下のようなことだとわかりました。
◎会員になることのメリットを感じているかどうか
◎コンテンツやサービスが、そのサイトにしか無いものと感じているかどうか
◎キャンペーン内容が、企業(ブランド)の強みに親和性のあるものだったか
この結果からサイトやキャンペーンをあらためて見返しました。すると今まで企業内ではわからなかったような問題点が出てきました。
◎会員メリットを伝えるページがほぼ無いほか、内容もユーザー目線というより、サイト側のひとりよがり的内容であった。(更には定着率の高いユーザーは、会員メリットをサイトで知ったわけではなかった)
◎定着率の悪いキャンペーンでは、その企業とはまったく関係のないものをプレゼントにしており、サイトと親和性のあるユーザーが集められていなかった。
◎競合の方が得意とするコンテンツを真似ており、独自性の高いコンテンツが少なかった。(定着している人は独自性の高いコンテンツの存在を知っていた)
この会社の事例から分かるのは、ユーザーはサイトを中身で判断しており、サービスやコンテンツの中身がとても重要だということだと思います。
ですから、私たちアナリストは、単に数値を見て報告するだけではなく、ユーザーの「心」に寄り添った分析も必要とされていますし、これからは、サイトの要素(ボタンなどの色や位置など、サイトの各パーツのこと)の改善提言だけをしていてもダメで、ビジネス(サービス)の本質的な改善にも踏み込んだ提言を求められてくる時代になっていると思います。
最後に、12/12開催予定のa2iのセミナーは、「リードナーチャリング」をテーマに、本コラムで書かせていただいたような、顧客が常に接点を持ちたいと思うようなコンテンツ/サイト作りとはどんなものか、その手法や事例を紹介するセミナーになる予定です。お楽しみに。
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