コラムバックナンバー
メールマガジン2014年10月22日号より a2i代表 大内 範行
今回はソーシャルログインについて取り上げたいと思います。
昨今のマーケティングトレンドとして、モバイル、特にアプリへのシフト、また、DMPなどを中心としたオーディエンスデータへのシフトというのが挙げられます。この2つのトレンドは、まだ始まったばかりで、混沌として動いていますが、実はその鍵を握るものの一つとして、ソーシャルログインが関連するのでは? と最近思いはじめています。ソーシャルログインとは、サイト上で会員登録をするときに、FacebookやGoogleのIDを使って会員登録ができる仕組みです。最近、アプリを中心に増えてきているので、実際に使っている人も多いでしょう。
このソーシャルログイン、会員登録をするユーザーにとっては、サイトごとに個別のパスワードを使わなくてよいので登録プロセスが楽になる、というメリットがあります。また、複数のサイトで、いくつもパスワードを管理しないといけないのは、面倒です。その点でも便利だと言えます。
一方でマイナス面もあります。そのアプリにソーシャルログインで登録すると、勝手にソーシャルでつぶやかれてしまうのではないか、という懸念や、データを勝手に使われてしまうのでは、という疑いがあります。そのため、存在は知っていても、使うのを躊躇する、という人も多いでしょう。
しかし、懸念もある一方、特に米国のデータを見ると、このソーシャルログインは広がっているようです。 eMarketer のレポート(メール最後にURLを記載)によると、すでにネットユーザーの77%がソーシャルログインの経験がある、という結果になっています。2012年調査時の数値が45%でしたので、かなり増えてきていることがわかります。この傾向からソーシャルログインは、広く定着していく流れが見えてきています。
では、ソーシャルログインによく使われているソーシャルは何でしょうか?
様々なところから調査結果が出ていますが、どの調査でもFacebookの割合が40%から50%台と高く、次にGoogleのIDが20%から40%程度となっています。この2つのIDが事実上の2強になっています。残念ながら、日本の調査結果は、私自身は見つけられませんでしたが、日本ではYahooのIDを含めた3強という状態と推測されます。
では、アプリやサイトの運営側にとって、このソーシャルログインはどの程度メリットがあるのでしょうか?
運営者にとってのメリットは思ったよりも多く、まず単純に会員登録数が増える、というメリットが報告されています。会員登録が楽になることで、登録時の離脱が減りますので、新規会員が増えていきます。同時にサポートのコストも下がります。サポートの中で、パスワードに関する問い合わせは、一定数占めていますので、これが1割から3割ぐらい減れば小さくないメリットになります。
加えて、データが正確になるという効果があります。サイト側は、新規の会員登録者について、年齢性別などを登録時に集めたいと思うわけですが、あちこちで同じような質問をされていれば、回答もいい加減になってきます。しかし、長く使うソーシャル上では、比較的正確な情報を登録する傾向があり、より正確なデータが得られるようになってきます。
注目すべきデータとして、ソーシャルログインで参加したユーザーの行動が、そうでないユーザーに比べて活発だ、というものがあります。サイト内での、閲覧ページ数や滞在時間が多く、コンバージョンの割合も高い傾向が見て取れる、というのです。
これは、ソーシャルログインのプラットフォームを提供している企業のマーケティングデータなので、実際に運営しているサイト運営者の声を聞いてみたいと思いますが、もともとソーシャルを活発に利用しているユーザーなので、その傾向はあるかもしれません。
今後の鍵を握るのは、このソーシャルログインのデータを活用したマーケティングが、本格化していくか、という点にあります。
ログインしている会員データが増えると仮定すれば、ログイン元となるFacebook, Google, Yahooが持つオーディエンスデータとの連携が活発化していきます。ソーシャルログインのデータは、そのままソーシャル上のユーザーのセグメントに結びつき、デバイスなどを越えて、マーケティングの精度を上げ、自動化が進んでいく方向になると考えられます。
特に今後、モバイルとPCでのユーザー行動をつなげたターゲティングが必須になっていきますが、クロスデバイスのユーザーの動きをつなげるためには会員ログインの仕組みが鍵を握ります。ソーシャルログインは、この点でも優位性がありそうです。
そうすれば、現在のDMPの進み方も、少し違った流れになっていくかもしれませんし、データ解析からアクションまでのプロセスにも影響していくでしょう。
日本市場で、このソーシャルログインがどう進んでいくのか、そしてソーシャルログインをけん引するFacebook, Google, Yahoo 3社の今後の動きに注目したいと思います。
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