コラムバックナンバー
メールマガジン2014年3月4日号より a2i代表 大内 範行
マーケティングをデータドリブンに進めるチームのあり方について考え続けています。永遠のテーマという感じでもありますが、徐々にいくつかの形が見えてきたように思います。
よく言われるように日本のマーケティングの組織にはCMOやマーケティングのスペシャリストが不在だと言われます。CMOとは、Chief Marketing Officer の略で、企業のマーケティングを管理し、組織を超えて横断的に意思決定をする権限を持った人です。
特にデータ分析によるビジネスの改善に取り組む際に、CMOやスペシャリストがいない組織では、課題が出てきます。社内のセンシティブなデータを扱う、部門を超えた調整が不可欠になる、分析、改善、検証のサイクルを速く回さなければいけない、などといった点で、制作会社や広告代理店など外部の企業にまかせるやり方では、うまく機能しない面が出てきています。
では、CMOのポジションを社内で作ればいいのでしょうか?実際にCMOを設置した企業でも、うまく機能していない、という声も聞こえてきます。
ある企業では、その肝心のCMOがあまりに政治的で、社内調整ばかりをやっている、という不満が聞こえてきました。別の企業では、まったくその逆に、CMOを設置したのはいいが、社内調整力がないために、実質的に機能していない、という声が聞かれました。
CMOを持つ日本企業の事例で、私が見聞きしたのは、わずか4つの事例ですので、これだけで全体と捉えるのは危険ですが、単純にCMOを設置すればうまくいく、ということではなさそうです。
そんな中、先週、比較的うまく機能している企業事例を取材することができました。それほど大きい企業ではありませんが、ウェブのオンラインストアとリアルの店舗を持つ企業です。その企業がとっている形は、社内のチームと社外のスペシャリストのハイブリッドです。
社内には、1名の意思決定者とそれをサポートする2・3名の若手の人材がいます。そして、3名の外部スペシャリストとコンサルティング契約を結んでいます。
外部のスペシャリストは、それぞれ広告が1名、マーケティングが1名、そしてシステムの担当が1名です。いずれも個人のスペシャリスト的な人で、個人事業主かもしくは小規模な会社を運営しているコンサルタントです。
実際の業務は、必要に応じて、また別の会社に発注するなどしていますが、基本的な方針と多くの実作業は、このコアなスペシャリストチームと、企業内のマーケティングチームが、まるで社内のチームのように取り組んでいます。たとえば、このハイブリッドチームは、2週間に一度、集まってミーティングを持ち、大事な指標の確認とプロジェクトの進捗、今後の方針を話し合っています。
社内の人材が不足している中で、外部に発注する場合、通常は広告代理店もしくは、ウェブ制作系の会社にまかせる、という形が多いと思いますが、スペシャリストのコンサルタントを、それぞれのファンクションごとに契約している、という形態でした。これはインハウスとアウトソースのちょうど中間にあたる第3の形態だと思います。
この形式は、うまくいけば、社外のスペシャリスト人材を、半分社内の人材のようにして活用でき、バーチャルなマーケティングチームが作れるので、理想的に思えます。
しかし、話を深く聞くにしたがって、この成功例も、決して簡単ではないな、と思いました。優秀な人材が揃えられた経緯は、もともと代理店でお仕事をしていた方が独立して関わりはじめたりと、はじめから意図したわけではなく、たまたまそうなったようです。ゼロからスペシャリストチームを組もうとしても、なかなか難しい面があるでしょう。
何よりも、そのスペシャリストのチームと企業の間には深い信頼関係があり、外部の人材とはいえ、その会社のサービスを、とても愛している、という状況があります。そのチームが機能している本当の理由は、そのチームの形にあるのではなく、「愛」があるからだ、とも思えてきます。
どの企業でも当てはまるケースではありませんが、愛のある社外スペシャリストチームと社内のチームのハイブリッドな取り組み、というのは、今後考える価値がありそうだと思いました。
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