コラムバックナンバー
メールマガジン2013年12月10日号より 石井 陽子
12月ということで、この時期になると一年の振り返りというものをしてみたくなります。流行語大賞もその一つですね。
私にとっての今年の流行語といいますか、それに振り回されてきたといいますか、そのキーワードは『データサイエンティスト』でした。
昨年自身が独立し、そもそも自分はデータアナリティクスの現場における何者なのだということをきちんと理解したく、考える機会も多かったのがその理由です。
このコラムでも何度か同じ話題に触れさせて頂きましたが、一年通じてどうもこの、『データサイエンティスト』という言葉がしっくり来なかった一年で、世の中の定義も曖昧であり、人によって理解の違いも大きく、モヤモヤした一年でした。
そのような中、先日からHuluにて再ハマりし、シーズン8に突入中のドラマ『24 -TWENTY FOUR-』の登場人物にふと、この一年のモヤモヤを解決するヒントを得ました。
(見ていない人もいらっしゃると思いますので部分的にストーリー解説入ります)
24は、アメリカの連邦機関であるCTU(テロ対策ユニット)ロサンゼルス支局の捜査官ジャック・バウアーとテロリストとの戦いを描いたもの(wiki引用)。
CTUから逃げるテロリストを、衛星写真や防犯カメラなどの超ビッグなデータを駆使することで、テロリストの発見と動きの監視および予測を行い、テロリストの確保を目指します。
そこに出てくる登場人物(部隊)の役割は主に以下の3つに分けられます。
1. 主人公のジャック・バウアー率いる戦略/実行チーム
2. クロエ・オブライエンなど複数名の分析官や技術者からなる分析チーム
3. 各部隊から挙がる懸案事項の決済、それにあたり国の各機関と交渉をするマネジメント(主に支部長)
彼らがテロの情報を入手すると、最初にクロエ・オブライエン(分析部隊)の出番がやってきます。
クロエたち分析チームは、衛星写真で犯人の位置を特定したり、暗号化された通信記録などから黒幕の存在を洗い出したり、テロリスト拘束のための最短ルートを実戦部隊にアドバイスしたりと、様々なデータ・ソースとその加工方法を駆使して実戦部隊をサポートするのが仕事です。
一方、ジャックはどうでしょう。
24にはよくあるシーンですが、クロエが出すデータや映像を見て、ジャックが『この写真を拡大してくれ』とか『この写真と過去の俺との接点を洗ってくれ』などと言います。
また、クロエのデータから『彼らは必ず◯◯とコンタクトを取るはず。だから◯◯のオフィスに実戦部隊を送る』という行動を決めます。
つまり、得られたデータにあたりをつけ、深堀分析を依頼したり、データからテロリストの心理や背景を推察し、テロリストの裏をかいた戦略を立てたりすることが仕事です。
どちらもデータを見ていることには変わりなく、データを見ることは出来て当然な仕事。でもその役割は全く違っていますし、両者のスキルも異なっています。
たとえばジャックはデータからアクションにつなげることは出来ても、それを加工することや、最も正確な結果を得るデータが何なのかということは分かりませんし、一方クロエは高い技術力や分析力を持っている一方で戦闘力はありませんし、そもそも必要とすら(ジャックに無茶ぶりされるとき以外)されていない。
しかし今、データアナリティクスの現場では、ジャックにクロエ的な業務を依頼したり、クロエに高い戦闘力を求めていたといったミスマッチや誤解をよく見かけます。
『データサイエンティスト』や『アナリスト』の定義が曖昧であるということも起因しているのでしょうが、いずれにしてもその状態では良いパフォーマンスが出るはずはありません。
私はこのドラマを見て、現場で良い結果を出すためにはまず自分が、ジャックなのかクロエなのか(または支部長なのか)、キャラクターを明確にすることが重要だと思ったのがひとつ。
そしてクロエにせよジャックにせよ、両者が居るからこそCTUは機能するのであって、スペシャリティを発揮できるチーム作ることで、テロを防止できる。そのための社内調整をするのが支部長の役割なのではないかと思ったのがひとつ。
そして最後に個人的な見解として、データサイエンティストとはクロエ・オブライエンのことではないかと思いました。
みなさんはクロエでしょうか、ジャックでしょうか?
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