コラムバックナンバー
メールマガジン2013年10月16日号より 石井 陽子
会社にデータ分析が必要だということは分かったし、そういうスタッフを育てるように言われた。
でも自分にWebやデータ分析の知識は薄く、育て方もわからない。
マネジメントする立場の方からは、そんな悩みをよく聞きます。
アウトソースすればいいのではないか?
そんな声も聞かれます。私のような仕事はアウトソースしてくださる企業があってこそ成り立っているわけですが、個人的にはすべてをアウトソースするという選択肢は無いと考えていて、数年後に社内にノウハウが貯まるように、インハウス(社内)で出来るところはできるようにすべきで、最終的にはすべてインハウスでやれるのが理想だと思っています。
では、どうやって社内で人を育てたら良いか(Webアナリストに限らずデータ分析を行うマーケティング担当者も含みます)。
私は、マネジメントする上でWeb分析という業務の特徴を踏まえておくべきことがいくつかあると思っています。そのポイントをいくつか挙げてみました。
1. 部下に何が得意なのか(ケイパビリティ)を明確にさせること
得意な領域については、徹底的にその知識や技術を磨いてもらうようにします。
もちろん会社なのでそれだけやっていれば良いということはありませんが、異なった領域の人たちが人に教えられるレベルにまでその技術を引き上げてくれれば、その先は一定レベルのノウハウが社内に残ります。あれもこれも全部100点にするのではなく、どれかを100点になるような目標設定を与えます。
とはいえ、まったく未経験の人に「お前は何が得意なんだ」といきなり聞いたところで答えが出てくるはずはありません。その場合は簡単なレポートをやってもらうとか、いくつか「お題」を与え、その進め方やアウトプットを見て得意/不得意を判断すると良いと思います。
2. 不得意なことを無理にやらせるのはリスクも高いことを認識する
1の逆になりますが、不得意な部分を「気合でやりきれ」というのは少々無理があるのがこの仕事。Webアナリストの仕事に関しては、気合戦法を採ることにより会社に大打撃を与えるリスクも大いにあるので、不得意なことは別の担当者・アウトソース・または技術的なサポートによる解決を試みるという選択肢も検討します。
※もちろん単なるサボりによる不得意宣言は認めてはいけませんし、最低限の知識は不得意な部分をサポートしてくれる方とのコミュニケーションに必要ですから、それを身につけることは業務として行わせます。
3. アウトプットする機会を増やす
私の経験上、インプットの量はアウトプットの量を増やすと増えていくと思っています。新しいお客さまの仕事をするときにその業界のことを調べたり、またやったことのないレポートを作ると必ず疑問点が出て、調べたりといったことがそれです。
マネジメント側は、このように新しい「チャレンジ」の機会を積極的に増やしてあげることが重要です。同じ業務ばかりをやらせていても、その人のインプット量は増えません。アウトプットをあえて新しいものにすることによってインプット量が増え、その人のレベルが上がります。
もちろん、業務を与える以外でも実現可能です。例えば社内であるお題に対してレポートを作り、プレゼンテーションをしてもらうといったようなワークショップの開催でも良いです。
4. きちんと評価する
もしかしたら社内でいいWebアナリストを育てるにはこれが一番重要なのではないかと思います。部下が成長していることに対し、会社や上司にそれを評価することができなければ部下のモチベーションは途端に下がってしまいます。
そのためには、本人の目標設定にスキルアップにつながる項目を入れ、ミッションとして取り組ませることです。
私の前職ではデータ分析を専門とする部署がありますが、そのトップであり私の元上司のすごいところは、新しい知識や技術を身に付けることをミッション(業務)の一貫として、稼働時間の一定割合で確保していたことです。プロフィット部門における何十人もの社員の給与を、そのようなことで一定確保するのは、予算調整などで相当な骨が折れたはず。逆にその時間で得られたことに対するアウトプットも相当高いクオリティを求められました。
そこまでしろと言っても出来ない会社もあるとは思いますが、知識労働者を継続的に高いモチベーションで雇用するには、成長するための時間やお金を確保する「覚悟」というのが、経営側として非常に重要であると感じます。
最後に、評価者である自らもそれなりの知識をつける努力をすること。
「よくわからないからやっといて」という丸投げ上司の評価では、部下は納得せず、ヘッドハンティングなどで他社に引きぬかれてしまいますので、コミュニケーションをとる上で必須だと思って、自らも興味関心を持つようにしてください。
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