コラムバックナンバー
メールマガジン2013年9月18日号より 石井 陽子
最近話題のドラマ「半沢直樹」。私もハマっているひとりです。
このドラマには、時々自分の仕事の仕方や、普段の考え方に対して、ハッとさせられるような場面があります。
その中のひとつが、第8話の金融庁模擬検査で、融資部次長の福山が金融庁の黒崎役となり、半沢直樹と対決するシーンです。
福山というのは、銀行きっての切れ者で、データアナリティクスを得意としています。タブレット片手に様々なデータを突きつけて、伊勢島ホテルの再建には経営者交代が必須であることを主張します。
福山:「当然だろ。伊勢島は湯浅社長が経営を任された2010年以降 集客力7%ダウン。リピート率わずか0.2%。週末や大型連休時においても空室率が2割強もある。結果ホテル全体の売り上げが27.3%も落ちたのはまぎれもない事実だ。」
半沢直樹サイドには、確固たる再建案があるのですが、現時点でコンフィデンシャルなので、ここでは福山に何も言い返せない状況です。
福山はそれを見て更に畳み掛けるように、ホテルの後継者には羽根専務を据えるのが良いということ、そしてそれを了承できない半沢は伊勢島ホテルの担当にふさわしくないと言い出します。
しかし最後に半沢直樹がこう反論するのです。
半沢:「最後にお聞きします。福山次長、あなた羽根専務にお会いしたことはありますか?」
実際福山は、羽根専務に会ったことがありませんでした。
半沢:「あなたは羽根専務ばかりか、湯浅社長にさえ会っていない。そんな人間の立てた再建案になど説得力なんかありませんよ。目の前にいる生身の人間を見ようともしていない。そんな人間に伊勢島ホテルは任せられない。反論があるなら聞かせてもらおうじゃないか」
私はこのワンシーンを、データアナリティクスの仕事で陥りそうなことだなと思って見ていました。
データを握っていると、あたかも自分がすべてを知っているというような錯覚に陥ることは無いでしょうか?
データは問題の大小を可視化したり、予測をしたり、企業活動の判断材料としてなくてはならないものですが、問題解決に向けてその要因を分析しようとすると、それはデータ化されているとは限らないのです。
例えばECサイトの場合。売上が落ちている原因はサイト内ではなく、配送・商品クオリティ・コールセンターの対応などオフラインで起きていることだったりすることはざらにあります。私の経験上ですが、こうした問題を引き起こしている原因が、実は社内のいざこざだったというような、まったくデータ化出来ないものだったりすることもありました。
今回の半沢直樹も同様、伊勢島ホテルが大きな損失を招いた原因は、羽根専務が裏で手を引いていたことでした。
正しい要因分析が出来ないと、今回の半沢直樹のドラマにあったように、損失を出した張本人である、羽根専務を後任に据えようなど間違った解決案でも通ってしまうこともあるかもしれません。
こうならないためには、どうしたらいいか。
やはりドラマにもあったとおり、
「実際に自分が見てみる・やってみる」ことに尽きるのではないでしょうか。
アクションにつながるデータアナリティクスを求められている私達は、これからもっと広い視野で仕事をすることを求められてきている気がしています。
ビッグデータの流れで、ただひとつだけのデータソースを見てもダメだなどと言われていますが、それどころか本質的な問題点は、データとしてまだ存在しておらず、画面上であれこれと考えても、出てくる答えは部分的なのかもしれません。
ですから私は、今分析しているサービスを自分自身が受けてみることを勧めます。
ECサイトなら自分でそのサイトで買ってみたり、リアルの店舗を持っているならそこに行って店舗を見てみたり、サービスを受けてみたり。
自分が経験すること、そして目で見ることで、分析結果にもより一層の深みと説得力が増すことは確実です。
自分たちが分析しているのはデータではなく「人」であり、そして私達も「人」である。
あらためてそう感じさせてくれた半沢直樹のドラマ。来週も楽しみです。
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