コラムバックナンバー
メールマガジン2013年3月19日号より 真摯 いちしま泰樹
「Webサイトのコンテンツの評価や分析」の取り組みは、10年前からそれほど大きく発展していないのではないでしょうか。
流入の分析については、費用対効果を積極的に問われる広告の領域において効果検証が発展し、複数回の訪問がどう最終の成果に結びついたのかを測るアトリビューション分析などの取り組みが進んできました。
その一方で、Webサイトのコンテンツの分析については、「どういった流入があるのか」「どれぐらい閲覧されたか」「求めるアクション、目的のコンテンツにどれだけ誘導、送客できたか」という分析からは大きく進んでいないように感じます。
・最初の訪問からサイト上の成果に至るまでの「関係性の構築」に、各コンテンツがどれだけ貢献したのか
・顧客になった後の継続的な「関係性の構築」に、コンテンツがどれだけ貢献しているのか
このような、「コンテンツのアトリビューション」と「顧客満足やロイヤルティ(忠誠心)の醸成のためのコンテンツ評価」の側面の取り組みについて、広告のアトリビューション分析と比べるとあまり事例を耳にしません。ブログをはじめとした自社サイトのメディア化がもてはやされてきたにもかかわらず、「訪問数」「ページビュー数」以外の視点で、コンテンツを積極的に評価してこなかったのではないでしょうか(これは自戒を含めて)。最近では「いいね」の数やツイート数など、ソーシャルメディアでのアクションの計測は可能ではあるものの、それはまだまだ表面的な評価にすぎません。
この取り組みは手間がかかるのは事実です。一度の訪問ですぐに成果につながるようなサイトを除けば、コンテンツの評価や分析はユーザー軸での分析になるために、従来の一般的なアクセス解析ツールでは容易ではない内容でした。
また、広告のアトリビューション分析は、広告という「費用」に対する効果や貢献度をしっかりアピールしたい広告代理店やメディア側の思惑もあり、彼ら主導で取り組みが進んだ一面もあります。「サイトへのコンテンツ追加」をどう評価するかは、どうしても運用する企業の主導で取り組まなければならず、リソース不足と知識経験不足で消極的にならざるを得なかったのだろうと思います。
しかし、アクセス解析ツールの進歩に伴い、ユーザー軸での分析が取り組み可能な環境になってきました。「コンテンツマーケティング」などの言葉の台頭に見られるように、コンテンツを顧客層との関係性構築にどう生かすかという議論が活発になされるいま、「コンテンツの適切な評価や分析」は正面から取り組まなければならないものです。
「発信する」という企業の取り組みを適切に評価し、業績への貢献や取り組みの改善につなげるためにも、汎用的な分析手法や視点は必要です。2013年のわたしの取り組みたいことの一つが、実はこの「コンテンツの評価と分析」です。案外遠い道のりではないとは思いつつも、ご一緒いただけたりご意見いただける方がいらっしゃればお声掛けいただければ幸いです。
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