コラムバックナンバー
メールマガジン2014年7月23日号より a2i代表 大内 範行
日々この協議会を運営していて、最近、立場の違いで、意見や感想が大きく違ってくる場面を体験しています。大雑把に分けて、今、アナリティクスアソシエーションに参加する方々に、3つの層が出てきている、と感じています。
一つ目は、先進的なグループ(先進層)、そして2番目のある程度経験を積んだ中間のグループ(経験層)、そして今からはじめるグループ(今から層)の3つの層が、市場に混在している状態です。ついこの間までは、そもそもウェブのデータ解析に積極的に取り組む人が限られていたので、経験を積んだ人が学んだことを共有することで、みんなが一緒に学んで成長する、という感じの雰囲気でした。また、それで十分機能していたと言えます。
しかし、最近のセミナーのアンケートを見たり、参加者との対話をしてみると、この3つの層の分離が進んでいて、ある程度ターゲットごとに個別の対応をするべき時期に来ている、という印象を持っています。同じ内容のセミナーでも、聞く人によって「簡単すぎる」という感想と「難しすぎる」という感想が混在してしまっている状態です。
たとえば、一つの例を挙げると、「データ解析は仮説からはじめましょう」という定説がありますが、この定説に対しても、それぞれの層で明らかな違いがあります。
先進的な取り組みは、統計家の西内 啓氏が唱えている「仮説を立てて分析というやり方は古い」という主張があります。
「『センスにもとづいて仮説を考え、それを検証する』というやり方は、もう現代のビジネスには適さなくなってしまった。」と西内氏はいいます。その代わりオープン・クエスチョンをあらゆる角度からして、データ分析の軸を多様化することで、人間のセンスでは思いもしなかった意外な結果が得られる、という考え方です。
一方、経験層は仮説が大事という考え方に対しては、「データを先に見るだけでは無駄な分析になってしまう。まずユーザー行動を見ることが大事」と納得する人が多いと思います。仮説を立てて、それがはずれることで引き出しが増えていく、「経験が仮説の確度を高めていく」という考え方です。コラムの最後で紹介する小川 卓氏や阿部圭司氏のブログ記事は、個人的には納得できます。
こういった立場の違う記事を読んだ「今から層」は混乱してしまいます。いったい仮説を立てる訓練を積むやり方がよいのか、そんなことはもう時代遅れなのか、どっちなんだ?となってしまいます。
しかし、実際のところ「今から層」に必要なのは、目標やKPIの設定など、分析に取り組む前の整備だったりします。また、そもそも最初に見るべきはどこなのか、といった「最初の一歩」についてのセミナーが必要でしょう。先日のいちしま泰樹氏のKPIについての講座や、木田和廣氏の「Googleアナリティクス初級」講座などが、それにあたります。
そして、結局は成功体験を積んだ人々の言葉は、意見が違っても、それぞれの立場で間違ってはいないのです。
ビッグデータ解析には、膨大な商品データや顧客データがある前提で、かつデータクレンジングと言われるような、前処理と、統計ツールを駆使した分析ができるデータアナリストといった人材があってのことです。ウェブの改善であれば、ユーザー行動から仮説を検証する、というプロセスが有効でしょう。
今後、私たちも、「今から層」「経験層」「先進層」それぞれの層にあった企画を、わかりやすい形で、提供していきたいと思います。
「仮説は最初に立てるな」
西内 啓氏 日経ビジネス
「分析」を「ビジネス貢献」に繋げるために、筆者が行っている3つの効率化手法
小川 卓氏 リアルアナリティクス
初期の仮説は必ず外れる。成果を分けるのはその後の”行動”だ
阿部圭司氏 SEM-LABO
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