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活動報告
開催日時 | 2023/12/06(水) |
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会場 | オンラインセミナー |
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2023年12月6日に、オンラインでセミナー「意思決定のためのデータと分析~CDPとビジネスダッシュボード設計、そしてデータクリーンルーム」を開催いたしました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
レポート執筆
株式会社菊原web解析事務所
第一部は「デジタルマーケターを取り巻く環境」「対策:1st Party Data活⽤の重要性〜広告・CRMへの活⽤を例に」というテーマでトレジャーデータ株式会社山森 康平氏よりお話しいただきました。
まずは山森氏よりトレジャーデータ株式会社のご紹介です。
トレジャーデータは2011年にシリコンバレーで創業されたスタートアップ企業です。トレジャーデータのCDPは世界中の450以上の会社に利用されて、圧倒的な国内シェア、高い評価を得ています。
CDPのコンセプトはCRMとDIGITALそれぞれの顧客理解を繋げて高い精度でユーザーを理解しようというものです。実際には、お客様が持っている1st Party Dataと2nd、3rd Party Dataを紐づけて広告配信やマーケティングに繋げていくものになりますが、これをワンストップで行う仕組みがCDPです。
今、Cookie規制やIDFA制限などがあり、3rd Party Cookieが将来的に使用できなくなり、改正個人情報保護法によりデータを受け取って使用しにくくなっている状況です。
3rd Party Cookieが使えなくなるとリマーケティングなどの広告の成果や計測が難しくなるため、顧客獲得単価の悪化に繋がってしまいます。
現在課題として、計測不備の他、お客様との接点が増えて(ブランドサイト、アプリ、SNSなど)それぞれ分断している状況が起きやすくなっています。したがって1st Party Dataの活用がますます重要になってきます。
計測精度の悪化で媒体側も顧客離れを防ぐために様々な機能追加を行っています。その中にカスタマーマッチ、コンバージョンAPI、Lookalike、データクリーンルームなどの機能があります。CDPは、こうした機能を使いやすくしたり機械学習をやりやすくする機能を提供しています。
活用事例の紹介がありました。
インドの自動車会社でCDPを導入した事例では、自動車購入済みの顧客への広告出稿を厳格にコントロールし、クロスセルや既存顧客向けのキャンペーンが配信されるよう実施しました。結果として出稿費用が30%抑制し、既存顧客へのブランド毀損リスクもなくなりました。
広告、LINE、オーガニック、メールなどの運用が社内で分断している状況だと無駄が多くなってしまいます。すべてのチャネルを横断し無駄な予算を削減することが重要です。
例えばウェブサイトに流入して購入しなかったユーザーにのみLINE配信を行い、次にLINE配信後購入しなかったユーザーにのみ広告配信を行う、など購入ユーザーをしっかり除外してコストを節約していくことが大切になります。
こういう場合に使われるのが広告プラットフォームの提供するカスタマーマッチという機能です。メールアドレスや電話番号と紐づいているユーザーに広告配信ができるものです。CDPを使用しなくても、APIが公開されているため自分で設定して配信することも可能です。
次にコンバージョンAPIです。メールアドレスや電話番号を広告媒体へ連携し最適化を行うものになります。これを行うことによって店舗で購入したユーザーやどの広告が配信されたユーザーかなどが計測できます。直近購入ユーザーなどロイヤリティが既に高いユーザーは配信を抑制するなどの使い方が精度高く可能となります。
続いて2つ目の事例として、アパレルブランドのECサイト事例が紹介されました。
配信先を広げる際に拡張配信の精度が下がっていたためCDPが導入されました。成約者のデータとそうでないユーザーのデータで機械学習モデルを作成しセグメントを作成、配信を実施しました。結果としては売上目標比120%、ROAS目標比123%を達成しました。
3つ目の事例として、新規ユーザーへのリーチを目的とした施策の紹介がありました。
従来類似オーディエンスを作成する際は購入ユーザーすべて同じ重み付けをしたものを基にしていましたが、各ユーザーでスコアをつけてそこから類似オーディエンスを作成するように変更しました。通常の類似オーディエンスと異なる配信群が作成され、それらに配信を行うことでCPAを上げることなく1.5~2倍の新規ユーザー獲得に繋がりました。
最後に各機能の説明がありました。
リマケなど個人情報を取得せずに広告配信を行うのではなく、メールアドレスや購入情報を基に広告配信を実施、除外をするときに使用される機能
計測補助機能。広告プラットフォーム側のサーバーに対して個人情報を連携することで広告が配信されたユーザーかどうかを正確に計測するための機能
広告プラットフォームへ渡したデータに似たユーザーへ配信する機能
第二部は「分析の重要性〜ビジネスダッシュボードを例に」「1st Party Dataの限界とデータクリーンルーム」というテーマでトレジャーデータ株式会社山森氏、池田 俊介氏、花岡 明氏、株式会社電通デジタル岡田 将氏よりお話しいただきました。
まずは岡田氏より、適切な分析や施策設計を行う上での課題共有がありました。
ひとつはオウンドのECサイトやブランドサイト、広告担当チーム、SNS運用チームなどそれぞれの担当分野でKPIが違うことが多いことが挙げられました。各チーム固有のKPIを改善していった結果、ビジネス全体に役に立っているのか不明瞭になってしまいます。
もうひとつはそもそものKPI設定がうまくいっていないケースです。
例えばサイトの50%まで読了したなどをKPIとしている場合がありますが、本来は購入など獲得したいコンバージョンから逆算して施策全体を設計する必要があります。
「全体ダッシュボード」
企業全体の売上などのいわゆるKGIをモニタリングするためのダッシュボードで、経営層や経営層に近い方や店舗の責任者が確認します。
全体から部分へと分解した「ECダッシュボード」
チャネルの成果やブランド別や商材別など詳細が把握できるダッシュボードです。現場担当者などがPDCAを回していくために必要なデータを確認します。
更に細かい「詳細分析ダッシュボード」(会員ランク別のデータを見る)、「広告施策ダッシュボード」(広告施策の成果を見る)も紹介されました。
データ分析の目的では、状況把握のためのモニタリングダッシュボード、戦略方針立案に使用する分析ダッシュボード、戦略設計の効果検証のダッシュボードの大きく3つがあります。 ダッシュボード設計の際は全部のデータをまとめて見るのではなく、分割してブレイクダウンして設計を行います。
意思決定には実行判断フェーズ、プラン立案フェーズ、評価・改善フェーズの3つのフェーズがあります。 実行判断フェーズでは現状に対する意思決定、維持・中止・見直しを判断します。 プラン立案フェーズではリソースの配分、新たなプランの実行データをもとに新たな戦略・施策の立案・実行を行います。 評価・改善フェーズでは実行した施策の評価と改善を検討します。
ビジネス課題から必要なデータへ落とし込むアプローチで要求定義・要件定義を⾏います。
分析する際、まず今持っているデータから何がわかるかと考えがちで、結果として最終的な目的にたどり着けない場合が多くなります。目的から落とし込んで考えていくべきです。
またダッシュボードを作る際に各数値は計測可能なものでないといけません。そこで大切なのがKGI(Key Goal Indicator)、KPI(Key Performance Indicator)、CSF(Critical Success Factor)です。KPIだけを追ってしまっていることが往々にしてあるため注意が必要です。
まず、一つの企業で集められるデータではコストに対しリターンが見合っているのかが不明瞭なことが多く、質と量には限界があります。
他の企業が持っているデータを自社のマーケティングなどに活用できないか、という問題意識からデータクリーンルームが生まれてきました。自社が持つデータとプラットフォームが持つデータを、プライバシーを保護したうえで突合して傾向を統計データとして提供しそれを利用するのが主なかたちです。
GoogleやFacebook、Amazonなどがプロダクトとして提供しているプロダクト型、Yahooの提供する電通や博報堂に業務委託の形でデータを使用する業務委託型、LINEの提供する適宜手動で広告主やパートナーからデータを受領しプラットフォーム側で集計分析を行う手動照会型があります。
またトレジャーデータとYahoo、LINEで共同開発し2023年ローンチしたデータクリーンルーム「Yahoo!Data Xross」のご紹介がありました。
大手プラットフォーマーのデータクリーンルームは、広告の効果検証や次のターゲットの発見、他のデータと掛け合わせて新しいターゲットがいないかなどの分析に利用されます。広告が配信されたユーザーが購入に至ったか、ROIの検証など分析や顧客理解の精度が上がります。
また最近は各社が新規広告ビジネスへ参入することが増えてきています。特にリテールメディアが活況となっていて各社が取り組んでいる状況について解説がありました。
Q. データクリーンルーム(個人の特定がされない環境)で、どうやって各データ元から該当ユーザー群を突合できるのかのイメージがつかめなかったので、その辺りの詳細が聞きたいです。
A. システム的にはメールアドレスや電話番号などの識別子と突合して、アウトプットされるときに統計化された情報で出てきます。
Q. AmazonやGoogleのクリーンルームがよくわかりませんが、これは効果を見たり、分析ができるだけで、そこから直に広告配信にリストを渡せたりはしないのでしょうか?
A. 直近では一部できつつあります。Amazonは明確にできつつあり、Googleは一部可能です。
Q. テレビデータや購買と突合したDCR活用が多いという話がありましたが、その中で特に需要あるような分析内容の詳細について可能な範囲でお伺いしたいです。
A. You Tubeとテレビの広告接触者でどちらの認知効果が高いかの分析やそもそも広告が当たっているユーザーに違いがあるのかという分析です。またオフラインの購買で広告接触者と非接触者での違いの分析など。
Q. CDP を導入するにあたって、法的な注意事項があれば教えていただきたいです。
A. 基本的にはAWSやGCPを使用するときと同じように同意を取る必要があります。
使用するときの注意点としては昨今ではプライバシーポリシーの同意、明示した説明をして頂く必要があります。また個人情報保護法の遵守が必要です。
Q. Googleのカスタマーマッチなど個人情報を活用する仕組みの場合、これを活用すると具体的にどの数値(コンバージョンなど)が、目安としてどの程度改善するのでしょうか?また今から行うべきなのか、サードパーティCookieが使えなくなる時期から行うべきですか?
A. 今からでもやれることはやったほうがいい。例えばGoogleがデフォルトで用意しているターゲティングとカスタマーマッチを同様に実施し効果の違いをみるなどのスマートテストでABテストを行うのがおすすめです。
Q. CDPを導入する期間と、導入後に広告施策を実行できるまでにどの程度期間がかかりますか(標準、最短)?そのための準備すべき重要な点は何でしょうか?
A. データを用意するのに半年かかるケースや、目的がメルマガの改善のみなどの限られた施策の場合は3ヶ月でスタートができるなどケースバイケースです。
主に時間がかかるものはデータを入れる部分の許諾、データ整理。またプライバシーポリシーの変更に時間がかかります(社内稟議に時間がかることが多い)。
Q. データクリーンルームを使用してインサイトの検証をおこなうという説明がありましたが、配信に直接連携できないと先ほどのQ&Aで話がありました。配信連携できない中で、分析でインサイトを得た上でどのようなアクションにつなげることがありますか。
A. ターゲットをどれだけ見つけられるかというケースが多い。また広告の量が多すぎたのか少なすぎたのかの検証も行うことがある。
Q. データクリーンルームを使う際にどのくらいの費用がかかりますでしょうか。
A. まず大手の広告プラットフォームのものは使用にはお金はかからないことが多いが、BigQueryなどストレージに相当するものは自分で用意するのでお金がかかります。
Q. (ダッシュボードについて)
1.KGI(売り上げ拡大) –> 2.CSFに分解 する場合、ロジカルシンキング的に分解するパターンをご紹介して頂きましたが、ここで機械学習などを用いて CSFに分解 する(優良顧客が持つ属性を特定し、それをCSFにする)など、飛躍的にCSFの分解を行うことはあるのでしょうか?
A. 事例としてはある。基本的にはロジカルシンキング的だがKGIにつながるKPIを経験則でなく機械学習で出すことがある。
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