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活動報告
開催日時 | 2023/09/12(火) |
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会場 | オンラインセミナー |
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2023年9月12日に、オンラインでセミナー「世界最先端のCRMを活用したマーケティングとは?」を開催いたしました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
レポート執筆
株式会社菊原web解析事務所
第一部は「商品レコメンド掲載でCVR6倍に。事例で学ぶLINE活用」というテーマでMicoworks株式会社ビジネス・マーケティング部Directorの大里紀雄氏からお話がありました。
まずは大里氏の自己紹介から始まりました。
大里氏はWeb制作会社でDMP構築、活用支援、広告運用などをご担当ののちMarketo(現・Adobe)でBtoBやBtoC問わず様々な業種を支援されてきた実績があります。その後複数のスタートアップを経験し、昨年11月からMicoworks株式会社にジョインされています。
次にMicoworks株式会社の会社概要です。
2017年に設立、大阪・東京を拠点にビジネス展開し、人材業界、不動産業界など様々な業界で利用されており、特に大手のBtoC企業を中心に活用されています。現在はLINEを活用したマーケティングプラットフォーム「MicoCloud(ミコクラウド)」の提供を中心にマーケティング支援をしています。
まず「カンバセーショナルコマース(Cコマース)を知っていますか?」という問いかけがありました。
「Cコマース」とはメッセージングアプリ上で人やチャットボットと会話をしながら商品やサービスの購入を行うことです。海外では注目されている領域となっており、ウォルマート社ではすでにVice President of Conversational Commerceという役職があります。
日本でも他のアジア諸国と比べ広がりが遅いものの、Z世代では企業や店舗のSNS経由の購入が増えてきています。
SNS別で見ると、LINEはどの世代でも使われていて生活に根付いたプラットフォームです。月間利用者数は9,500万人以上(※1)で総人口の70%以上(※2)をカバーしています。
※1 LINEヤフー社調べ LINEアプリ 月間アクティブユーザー 2023年6月末時点
※2 LINEの国内月間アクティブユーザー 9,500万人÷日本の総人口1億2508万2000人(2022年8月1日現在(確定値) 総務省統計局)
LINEは消費者の情報収集はもちろん、購買にも有効なチャネルとなっています。LINEヤフー社の調査によると、メールマガジンに比べて、LINE公式アカウントは開封率が4.6倍、クリック率が3.3倍といった結果が出ています。また、マクロミルの調査によるとLINE公式アカウントと「友だち」になって実施したこととして、実際に商品購入したユーザーは34.7%となっています。
また、LINEはWebサイトを訪れた見込み顧客の取りこぼしを防げるチャネルでもあります。サイトの離脱、直帰が多い中、各流入経路でLINE友だち登録への導線設計することで、友だち登録が250%増加の実績もあったそうです。
離脱するタイミングで友だち登録を促すポップアップバナーを出すことは定石となっていますが、バナーをLPサイト内のデザインに合わせるなどバナーデザインのPDCAを回すことでクリック率が向上します。またLINE公式アカウントのカバー画像を刷新することで登録率が改善した事例も紹介されました。
食品ECの事例では、LINEの登録フローを見直して、アンケート回答の特典クーポンのボタンを商品画像に変更することで商品購入率が6倍以上になった例を紹介し、細かい改善を積み重ねていく大切さを強調しました。
LINEを活用した顧客データの取得には、画像を押して選んで貰う、botで聞く、リッチメニュー、アンケートを取る、webタグ(トラッキングコード)、外部データと連携するなどの方法があります。
MicoCloudを活用してアンケートを取れば各情報を取得したり、LINEの中の行動情報などの取得も可能です。またCRM、SFAと連携することで属性データと連携することもできます。そして顧客データを活用したコンテンツの変更なども可能となります。
ユーザーに配信された広告バナーに合ったコンテンツを出すことで、異なった訴求による離脱を防ぎ、会員登録単価30%減という例もあります。顧客の行動データを活用することにより会員登録前後でリッチメニューの切り替えを行うなども可能となります。
パーソナライゼーションとは、個々人向けに最適化することです。
LINEは潜在層への認知拡大よりも、ダイレクトに購買へつながるコミュニケーションが強みです。そして購買に近づくにつれてパーソナライズの必要性も高まります。
Avochato社の調査によると、購入前にリアルタイムでブランドに質問ができる場合、72%の買い物客が購入する可能性が高まるそうです。特に高額なものほど購入前は不安があるので、コミュニケーションを行うことが重要になってきます。
ただしパーソナライズコミュニケーションにはメッセージのやり取りやリソースの確保などコストがかかる側面があります。これをAI活用で解決していくことを目指し、MicoCloudはCriteoと共同開発したソリューション「レコメンデーション メッセージ for LINE公式アカウント」のベータ版を6月から提供開始しました。これはLINE内でパーソナライズされた商品がメッセージで自動で送られてくるものです。
「レコメンデーション メッセージ for LINE公式アカウント」の特徴として挙げられたのがレコメンド精度の高さです。自社サイトのみならず他社サイトの行動ログも多く持っているためかけあわせてレコメンドを出すことが可能です。
また追加開発不要であることや、未会員(友だち登録のみ)にもレコメンド配信可能なのも特徴です。
【大手人材会社事例】
以前は全登録者に一斉配信を行っていましたが、各ユーザーに合ったおすすめのお仕事紹介を配信することで未登録者の仮登録数が8.8倍になりました。また本会員登録者のお仕事エントリー率が649%向上しました。
小売、アパレルはもちろん、人材会社、不動産や旅行会社など、商品数が多く、商品のレコメンデーションが複雑な業界などで特に適している施策になります。
最後に参加者の方から大里氏へ質問の時間がありました。
Q. LINEのコミュニケーションではCVデータ以外にどんな指標が確認できますか?
ウェブやアプリのような閲覧数、滞在時間などは確認できますか?
A. ウェブサイトに実装できるトラッキングタグがあるため、PV、どのページを見たかなどが計測可能。
Q. LINE以外のSNSでこうしたCVR改善の仕組みはありますか?
A. WEBサイト上のCVR改善に関しては他にないのではないか。認知を広げるものはあるもののCVR改善させるものはあまりない。
Q. WEBサイトからLINEの友だち登録を促すよりサイト内の登録フォームへユーザーを流す方が良いのではないか?
A. ABテストを回すのがいいのではないか。世代や業種業界によってLINEに向いている商材などもあるのでテストしていくのがよい。
第二部は「ブランド価値と顧客エンゲージメントを高めるハイパーリアルタイムパーソナライズとは」というテーマでBraze株式会社伴田有香氏からのお話でした。
最先端のCRMを用いるとマルチチャネルでの顧客コミュニケーションがどこまで発展させられるのかの理解と、結果として得られるデータとそのデータの活用方法の理解を目的としています。
まずは伴田氏の自己紹介です。
伴田氏はプリセールスとしてBraze株式会社に入社後、現在は製品や活用方法の啓蒙活動やユーザーの活用促進のためのコミュニティ構築などを行っています。また、それ以前はMarketo(現:アドビ)、Salesforceのパートナー企業にてプリセールスを行っていました。
次にBraze社の会社概要です。ニューヨークで2011年に創業のカスタマーエンゲージメントプラットフォームの会社です。Brazeはメールやアプリ内メッセージ、SMSなどあらゆるチャネルをまたいだオムニチャネルでのコミュニケーションが可能なプラットフォームです。エンゲージメントを高めることに重きを置いているプラットフォームになります。
日本で営業開始から2年半を経過し企業規模問わず多くの企業に利用されています。
最先端の顧客体験とは特別な気分にさせてくれるポジティブな体験です。これはマッキンゼーのレポートで言われているものになります。
そこで大切なのがパーソナライゼーションになります。
これからは思いもかけないタイミングや情報で驚きや気づきを与えてくれるリアルタイム性が重要となり、最先端の顧客体験としてハイパーリアルタイムパーソナライゼーションが必要となってきます。
最先端のパーソナライゼーションが提供できる環境では新規獲得コストが50%削減し、収益15%UPしROIが30%UPし、大きなビジネスインパクトが発生すると算出されています。
次に実現のために重要なキーファクターとして以下の3つが挙げられます。
顧客体験の良し悪しがビジネスへ与える影響として、67%のユーザーはいい顧客体験をするとブランドに価値を感じロイヤリティが高まり、逆に顧客体験に一貫性を欠く場合には72%ユーザーが他ブランドへの移行を検討し、一括配信など無関係のメッセージを受け取った場合90%のユーザーが不快に感じるという調査の結果もあります。
重要なキーファクターとして挙げられたものをカバーした顧客コミュニケーションを実現するのがBrazeです。
次にBrazeの仕組みの紹介です。
データの取り込みはSDK、API、パートナーツール、CSVなど色々な方法があり柔軟に取り込むことが可能です。集めたデータを一つのユーザープロファイルとして生成しセグメント化します。
次にオーケストレーションで実際のシナリオをUI上で描くことができます。
パーソナライズで様々なデータを差し込み最適化を行います。
最後にアクションですが、あらゆるチャネルを用いた連続性のあるコミュニケーションを実現します。
そこから得たデータをリアルタイムにBrazeに戻したり、データウェアハウスにフィードバックし分析に活用することなどができます。
このループが残念な顧客体験を起こさせない為に必要なことだと考えています。
従来型のマーケティングオートメーションは、オートメーション化することに重きが置かれメールの一括配信をしていました。次にチャネル追加が必要となり他のソリューションを買ってきてバッチで連携するといった、ワンソリューションに見えて内部的には分断されているものが現在のSuite製品に多い状況となっています。
Brazeはアプリを重視し、適切なタイミングで適切な量のメッセージを送ることを目指し作られてきました。顧客行動に合わせてメールかアプリかなどチャネルを選択できるスタックとなっています。顧客の行動を中心に適切なタイミングとチャネルでコミュニケーションができます。
カンヌライオンズで賞を受賞したバーガーキングの事例の紹介がありました。
競合であるマクドナルドの店舗付近に来たユーザーに対しリアルタイムでクーポンを配信しバーガーキングの店舗へ案内するという施策です。
これはリアルタイムに高速な処理が可能だからこそ実現できたキャンペーンです。アグレッシブな点だけではなく、クーポンを配信し、店舗へ案内しながら、移動中に注文を促すといった連続性のある細やかなコミュニケーションという点で優れた施策です。
まずデータ連携の違いです。
従来のCRMでは、バッチ処理がメインとなります。テーブルを結合し直し、取り込み用のテーブルを新たに作成するため工数と費用がかかってしまい、スピード感を持って施策を実施することが難しい状況となります。
最新型のCRMでは、データ取り込みが簡単でAPIで好きなデータの送信が可能です。また、データウェアハウスからの直連携も可能です。データテーブルがあれば数ステップで開発不要で連携することができます。
次にデータ出力についてです。
よくある連携の流れとしてクラウドストレージへデータを送り、データウェアハウスにデータを持ってきてBIツールと繋ぎ可視化するのが一般的ですが、データウェアハウスに持ってくるところで開発が必要となり時間やコストがかかります。
Brazeでは自動でクラウドストレージにあらゆるデータを自動で出力でき、高速なPDCAサイクルを実現できます。
次にAI機能について説明がありました。
Brazeの中にデータを分析して最適化するという仕組みがあります。
最後に3社の事例紹介がありました。
【ピザハット】
アメフトのハーフタイムショーの時間に合わせてピザの注文を促すキャンペーンで、アメリカ全土のユーザーへ一括配信ではなく、購買履歴に基づき、各ユーザーの近隣店舗の情報などを差し込み、メッセージを送りました。膨大な情報をリアルタイムに捌き、読みやすいチャネルで送るというところまで実現しました。
結果としてトランザクション30%増加、売上21%増加、利益10%増加となりました。
【Ameba】
こちらの事例では複数の施策を行っています。
各施策で開封率110%以上の成果が出ています。徹底したのは何がユーザにとって価値のある体験か?ということを見失わないことでした。好きなブログを見逃さないということをユーザーにとって価値のある体験と捉え、施策を実施されています。
【TUI(ドイツの旅行会社)】
旅行会社は旅行に行く前、旅行の道中、旅行の後とユーザーのタイミングやフェーズにより様々なコミュニケーションが必要になります。
ユーザーが行き先やプランを検索した後予約に至ってない場合、直近の検索結果を再訪するよう促すような施策や旅の途中で目的に周辺に関連する商品のおすすめ情報などを表示します。
ユーザーのタイミングに合わせてクロスチャネルでのコミュニケーションの結果、予約が増加し、旅行に付随する購入の増加、ホリデーシーズンの売上比率の増加に繋がりました。
最後に第一部同様、参加者の方から質問の時間がありました。
Q. ユーザー体験を柔軟にしようとするほどクリエイティブの量産が必要になりデザイナーの負担を大きくしてしまうことに繋がりがちなのですが、なにか工夫で解決できることやアドバイスなどありますでしょうか?
A. まずは手軽に文言でどうひきつけるかをABテストで回しているユーザーが多いと思います。
クリエイティブを作るとなると工数がかかってしまうため、文言を少し変えてテストすることも検討できるのではないでしょうか。
また、Brazeでいうと、AIを用いたタイトルや画像の自動生成があり、クリエイティブの領域も生産性が上がるようにサポートしています。そういったツールの活用も一助になるのではないかと思います。
Q. ツールの柔軟性も重要ですがカスタマージャーニーの構築をしっかり行うのが重要と感じましたが、まずどんなことを考えてスタートすれば効率がいいでしょうか?
A. KPIと目的やペルソナの設定は大事になるのではないでしょうか。とはいえ、ある程度の成果の試算とスピードを落とさずPDCAをクイックに回すのが重要。弊社のお客様でも、多くはまずトライしてみて、成果がないものはすぐにやめる、などのトライアンドエラーを繰り返して成果を上げられています。
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