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活動報告
開催日時 | 2023/05/17(水) |
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会場 | オンラインセミナー |
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2023年5月17日に、オンラインでセミナー「注目 Microsoft 広告とAI~デジタルマーケティングはどう変わるのか?」を開催いたしました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
レポート執筆
株式会社菊原web解析事務所
第一部は日本マイクロソフト株式会社 有園雄一氏からMicrosoft広告の紹介がありました。
有園氏はMicrosoft広告の責任者をしていらっしゃいます。
まず、有園氏はMicrosoftで働き始めた一番大きな理由を、よりよい情報環境を作るためと語ります。検索エンジンには複数の選択肢があったほうが健全です。Google一強の中、SEO対策に力を入れた結果として、内容が薄いリンク集などのページが上位表示されている状況が見受けられます。
また、Microsoftの有利な点について、ファーストパーティデータの重要性があります。2024年にはサードパーティクッキーが使用できなくなるといわれています。そのため、利用者の許諾をとったファーストパーティデータを使いこなせるかが重要になってきます。Microsoftは、多岐にわたる製品やサービスを展開しているため、独自データの取得項目が多く、サードパーティクッキーの終了後も優位な状況と言えます。
更にAIにも投資を積極的に行っている点も挙げられます。
Microsoft 広告では200億ものクロススクリーンデータを収集しており、古いデータに依存せず各データからの信号を組み合わせながらAIを駆使して最適化されます。
ユーザー増加の施策
ユーザー増加要因としてポイントプログラムの開始があります。
2022年7月から日本でも実施されているポイントプログラム「Microsoft Rewards」は、BingやEdgeで検索することでポイントが貯まり、AmazonやAppleのギフトカードなどと交換することができます。ポイントの利用先は今後も拡大していく予定です。
AIを活用した新しいBingもユーザー増加要因となっています。Bingの検索結果とChatGPTを組み合わせて結果を返す仕組みで、回答エンジンと呼ばれています。
これらの施策でユーザーも増えてきていて、併せて広告のインベントリーも増加しています。
Microsoft広告について
次にMicrosoft広告についての紹介がありました。
2023年4月現在EdgeのPCでのシェアは23%です。またBingのシェアは17%です。
ユーザー属性では、Microsoftの特徴として年収のレンジが高い、正社員の割合が高いなどの傾向があります。また、16-24歳の若年層の割合が高くなっています。これはWindowsのPCが教育現場で導入されているためでしょう。
最後に広告メニューの案内がありました。
検索連動型広告であるテキスト広告とショッピング広告、ネイティブ広告を展開中です。
第二部はMicrosoft広告の運用を実際に行っている株式会社キーワードマーケティング 川手遼一氏からユーザー目線でのお話です。川手氏は10年近く広告運用を実施しており、近年BtoB、BtoG案件も運用を行っています。
Microsoft広告には大きく3つの特徴があります。
1つ目は、検索広告に関しては特筆して費用対効果の良い広告媒体です。
Microsoft広告を始める理由として多くの人が挙げるのが、クリック単価の安さやコンバージョン率です。また、ショッピング広告枠に配信できることに魅力を感じ、始める方もいます。
2つ目は、他媒体に比べて開始ハードルが低いことです。
Microsoft広告は既に他媒体で広告運用を行っている場合、データをインポートして配信を開始できます。色々な媒体のインポートに対応していますが、まずはGoogle広告をインポートして開始することが多いのでは。
3つ目は、Microsoftオーディエンス広告にも期待が持てます。
オーディエンス広告に関しても費用対効果が良いケースも出てきています。運用には注意が必要な面もあるので、検索広告で成果が上がってきたらオーディエンス配信に広げていくという流れをおすすめします。
Googleより高いパターンはほとんどなく、高くてもYahooと同水準程度になる場合が多いです。
コンバージョン率は他広告媒体と同水準か少し高くなっています。これらの傾向はBtoBでもBtoCでも変わりません。
注意点は、表示回数が少ないためクリック数が少なくなってしまいます。そのためコンバージョン単価が良くても件数自体は稼ぎにくく、全体に対するインパクトは小さくなります。
第一部でも触れたMicrosoftのユーザー属性もあり、決裁権者からの直接の連絡など、質の高いリードが獲得できます。実際にBtoBの案件で有効リード率が高い傾向にあります。
Microsoft広告の自動入札はGoogleなどと比較しても遜色がなく使いやすいです。公式の推奨方法からはずれますが、初動から自動入札を利用しても問題なく一定のコンバージョン率をキープできる傾向にあります。
前提として日本の法人用PCはWindowsが圧倒的であり、社内のセキュリティの規定で自然とEdgeやBingを使用することも多いことが挙げられます。
Google広告や一部のYahoo広告でリマーケティングリストや購買意向の強いユーザーのオーディエンスに紐づけて配信できます。例えば検索広告に紐づけて配信し、そのデータを利用して効率的なオーディエンス広告配信につなげることが可能です。
全部で30種類以上の広告表示オプションが用意されています。動画表示オプションなどユーザーの目を引くようなものもあり、差別化が可能です。一括で設定できるオプトアウトも便利です
現状は配信面が限られていますが露出は一定あるので、配信初期は配信面を絞って調節したほうがよいです。
オーディエンス広告では拡張クリック単価設定は可能ですが、自動入札は検索広告と違い設定できません。
まずはリマーケティングや購買意向の強いユーザーでの配信を推奨します。
Clarityは無料で使用することができるスクロール、クリックヒートマップなどの機能が備わっているツールです。
たとえばユーザーの動きを動画で確認できるレコーディング機能を使い、LPOの提案で視覚的に提案・説得ができます。また、Microsoft広告はイベントタグのインストールにClarityを使用することが公式に推奨されています。
使用が禁止されているカテゴリのWebサイトがあるため注意が必要です。また、Microsoft広告タグの設定時にボタン一つでClarityの設定ができてしまうため、意図せず導入してしまわないように注意が必要です。
Microsoft BingやBing AI チャットのメディア露出が直近は多く、検索数が増えています。
Bing AI チャットで広告枠が増加していることが確認され、これからコンバージョン率アップや新たなユーザーの動きが期待されます。
Windowsを押さえているためBingへ切り替えるアナウンスを表示し後押しするタイミングが多くなります。日本中の9割のPCに対してアプローチできるため一定の効果が見込めます。実際に顕著にBingのシェアが増えている状況です。
続いて川手氏から有園氏へ率直な質問を投げかけるディスカッションパートがありました。
Bing、Edgeが伸びてユーザーが増えてきているためビジネス展開できるボリュームが出てきたのが理由と聞いています。日本はWindowsシェアが高く魅力的な市場であることも一つの理由。社内的にも検索エンジンユーザーを取りに行くのは重要と考えています。
ポイントプログラムのMicrosoft Rewardsを昨年から展開しており、共通ポイント事業者との連携を視野に拡大を検討中。例えば、コンビニでポイントを使用することができるようになるとスマホにBingをインストールするユーザーが増えると予想しています。
ユーザーは急激に増えており、まだまだ増加させていきたい。日本はウェイティングリストの関心が高い国で想定以上に反応がありました。
以前から検索から回答型のAIにユーザーが移行していくことは予想されていたので、どこもAIに投資はしてきたと思いますが、Microsoftはイノベーションのジレンマが少ない分新しいBingに移行しやすかった側面があります。
(川手氏より質問補足)各媒体、以前は開示に制限がなかったが直近では制限が増えてきました。Microsoftは現在もかなり開示されている印象がありますがどう考えていますか?
今後はどうなっていくかはわからないものの、検索語句は特定の個人に紐づかないからプライバシーの問題になることはないと考えています。どのキーワードでコンバージョンが発生しているかがわかったほうが運用者にとっていいことなのでプライバシーに影響しない範囲で提供するのはいいことだと考えています。
これはここで明確に回答できるような質問ではありません。
Yahoo広告経由よりも直接Microsoft広告で出稿するほうが多くのパラメータを使用できて広告主にとってはお得な状態となっています。
今後マイクロソフトオーディエンスネットワーク(MSAN)の中に様々な媒体社がDSPSSPの技術を使い入ってきます。狙い目はファーストパーティデータの質が高いところで、リターゲティングはターゲティング精度が高くなるのではないかと予想しています。
一つはデータとしての質が圧倒的に高くユーザーも多いところです。
またミックスドリアリティやメタバースも手掛けていてSNSのLinkedInも持っていて、Xboxのゲーム内広告やリテールメディアのPromoteIQの買収なども行っています。Microsoft以上に広告事業でそれぞれ手掛けているところが他に無いところが魅力です。
現状そういった計画はありません。
最後に有園氏、川手氏に対しQ&Aの時間がありました。
参加者の様々な質問に対しお二人が回答しセミナーを締めくくりました。
Q. Microsoft広告の広告費の支払いはカードでしょうか?売掛も可能でしょうか?
A. 広告代理店を挟むかによっても変わるもののMicrosoft広告の支払い方法としては両方可能。
Q. Clarityのヒートマップでページ内リンクでのスクロールはスクロールとして色付けされるでしょうか?(記事の目次をクリックしてページ最下部へページ内リンクされた場合)
また、ページの中間で上下にスクロールした場合該当部分だけ色付けされますか?
A. 仮に色付けされたとしても、そもそもスクロールヒートマップのデータは1件や2件のデータを見て判断するものではなく、ある一定の母数のユーザーのデータを分析し、「どの程度スクロールされたのか」を示したものなので、基本的にはそういった動きをするユーザーがいたとしても、均したデータが出てくるため、基本的にはほとんど問題ないはず。
ただ例えば、ページ内リンクを使用することを前提として設計されているページなどの場合、そのページをスクロールヒートマップで分析した結果がまったく問題ないかといえば……これは検証したことがないので分からない。ただもし計測ツールのデータを見て違和感を感じる場合は、そもそも「この種類のヒートマップ機能を用いて、そのページを分析するのは正しいのだろうか」と考えてみるとよいかもしれない。
Q. Bing AI チャットの広告はオーディエンスとショッピング広告だけでしょうか?検索広告も表示されるのでしょうか?
A. 現在テスト中で表示の形やタイミングも確定してはいない。
Q. チャット形式での検索では文章型の検索が増えると思いますがキーワードのマッチタイプはフレーズ一致や部分一致が中心になるでしょうか?
A. (有園氏)マッチタイプに関しても現在テスト中のため回答が難しい。
(川手氏)現状では大きく環境が変わることは無いはずなのでそこまで心配しなくても大丈夫。
Q. Microsoft広告で海外配信をする場合に気をつけることがあれば教えてください。
A. 配信できないエリアがあったり、国によって配信できない商材があったりする。
広告の管理画面のタイムゾーン設定は気をつけるべき。
左:川手 遼一氏 右:有園 雄一氏
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