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活動報告
開催日時 | 2022/10/05(水) |
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会場 | オンラインセミナー |
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2022年10月5日に、オンラインセミナー「じげんとABEMAによる、データ活用最前線」を開催いたしました。第一部は株式会社じげんの西尾大笑氏がじげん社内でのデータ活用環境の構築事例を、第二部は株式会社AbemaTVの中村晃氏と株式会社イー・エージェンシーの石井暢秋氏が新しい未来のテレビ「ABEMA」におけるGA4の予測オーディエンス機能の活用事例について解説しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
レポート執筆
西 倫英
左:石井 暢秋氏(株式会社イー・エージェンシー) 右:中村 晃氏(株式会社AbemaTV)
西尾氏は、最初に株式会社じげんのマーケティングの歴史を紹介しました。同社を創業した2006年から2013年ごろの上場前はSEOに注力し、上場後の2013年から2020年にかけては有料広告と内部改善に取り組みました。そして、これから何をしていくかを考えた結果が「データの活用」だったと説明します。
同社では、次の4つの段階でデータの収集と活用を進めています。それぞれのフェーズについて説明が行われました。
まず取り組んだのは、事業部を横串で横断する組織を作ったことです。「事業部ごとでは、今月の予算の達成など短期的な課題にリソースが割かれてしまい、中長期の打ち手が進みにくい」と西尾氏は説明します。
2020年にデータ分析基盤チームを設立。そのミッションは大きく3つでした。
最初にやったことは、全4部署へのヒアリングです。各部署が持つデータの仕様を把握し、事業部ごとの要望やスケジュールを聞き取ります。その上で、できることとできないことを洗い出し、実装へと進めていきました。
このフェーズに半年から1年ほどの期間を費やし、各サービスのデータを収集してBigQueryに保存できました。ポイントは「既存の事業部とは別組織、別リソースで実行したこと」だったといいます。
BigQueryにデータを保存できたら次のフェーズは「短期的に成果を出す」ことです。事業部ごとに、取りたいデータをヒアリングしてそのデータを収集し、SQLテンプレートを作成しました。ほかにもKPIシートの更新を自動化することで、毎日数十分かけていた作業がゼロになったといいます。
データ活用は中長期の取り組みとはいえ、短期的にも実績を出して社内の理解を得る必要があります。そのため、すぐにできそうなことで、かつ数値のインパクトがあること、業務効率につながることを設計しました。
西尾氏が「今はこのフェーズに取り組んでいるところ」と説明するのは、育成/拡大フェーズです。大きくはデータガバナンスの整備とデータボトルネックの解消に取り組むことで、誰でもデータを利用可能なように「民主化」する取り組みです。
人によって作成したテーブルの仕様がばらばらだったり、SQLの知識がないとデータを扱えなかったりすると、データ活用の幅は広がりません。複数のツールを比較して、Lookerを使うことでデータの民主化に取り組んでいます。
「中長期的には、データの利活用によるユーザーの利益最大化、事業成長が目標」と説明します。Lookerを利用してデータ収集から分析・アクションまで一気通貫して実施できる環境が整ったら、送客力の強化や顧客基盤拡大を目指していく計画です。
第二部では、株式会社AbemaTVデータアナリストチームのマネージャーである中村氏と、GA360を活用したデータ起点のデジタルマーケティングを支援するイー・エージェンシーの石井氏がABEMAのデータ活用について解説しました。
中村氏は、まずABEMAの現状について簡単に紹介しました。2016年に開局したABEMAは、6年目となる今年でWAU1500万前後を推移しており、2022年度の3Qは190億円の売上高を記録しています。売り上げの内訳は広告と月額有料会員、周辺事業のマネタイズ、そしてPPVとなります。人気の番組は、アニメや恋愛、スポーツ観戦だといいます。
ABEMAのデータ活用で設定しているKPIは、以下の3つです。
ABEMAはさまざまなデバイスでサービスを提供しており、それらのユーザー行動ログをデータコレクションツールで収集してBigQueryに集約し、BIツールで活用するという設計になっています。
ABEMAには自社データ基盤もありますが、目的によりGoogle アナリティクスと使い分けています。Google アナリティクスのメリットは、学習コストが少なく誰でも利用できることと、Google広告など他サービスとクイックに連携できることです。
GA4では、計測したアプリ内・サイト内行動データとGoogleの機械学習技術を掛け合わせることで、ユーザーの購入可能性や離脱可能性などを予測してリストを作成する「予測オーディエンス」機能があります。デフォルトでは「購入可能性」「離脱可能性」「収益予測」など5つのリストが用意されています。
また、GA4とGoogle広告でコンバージョンデータを連携することも可能です。「7日連続でアプリを起動した」という浅めの中間コンバージョンや「累計の購入金額が1,000円以上になった」といったシグナルをコンバージョンと見なして、Google広告の学習に活用します。
ABEMAではGA4の予測オーディエンスの性能を検証するために「一度も有料サービスを試用したことがない無料ユーザーの初回トライアル登録」を目的に、GA4が作成した「購入可能性が高いユーザー」リストとその他のユーザーでどのくらい差があるかをA/Bテストで検証しました。
それぞれ同額の広告予算で1か月間キャンペーンを実施したところ、予測オーディエンスを利用したキャンペーンのほうがコンバージョン数が2倍となり、CPAが51%改善されました。
中村氏は、検証結果から得られたいくつかの気付き・考察を紹介しました。
まずは、予測オーディエンスのユーザーボリュームがある程度確保できないと、いくら可能性が高くてもキャンペーンに活用できないこと。続いて、AIの学習と最適化が落ち着くまで一定期間待つ必要があることと、予測精度を上げるためにはGA4で推奨イベントを幅広く取得する必要があることです。
別の視点としては「もうすぐ登録する可能性が高いユーザー」にわざわざ広告を出す必要があるのか? という点もあります。「もうすぐ登録する可能性が高いユーザー」とはどういうユーザーなのか、BigQueryでユーザー行動を分析することで、さらに考察する余地があると説明します。
中村氏は「今後も、学習精度を上げるための試みや、GA4とGoogle広告を連携する試みに取り組んでいく」と意欲を示し、セミナーを締めくくりました。
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