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活動報告
開催日時 | 2019/07/12(金) |
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会場 | 八重洲 |
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2019年7月12日に特別セミナー「データ×ストーリーで「人を動かす」!~データ解析の価値を倍増させる冴えたやりかた~」が開催されました。
レポート執筆
二村 勇輔
寳 洋平 氏(アユダンテ株式会社)
オープニング講演として、今回のセミナー企画・司会担当であるアユダンテ株式会社の寳 洋平氏に「データ×ストーリーの世界」についてお話しいただきました。
始めに、データ×ストーリーが注目される背景と題し、Googleでデータビジュアライゼーションの社内研修プログラムを開発した方の著書に触れます。
書籍で取り上げられていた「学校で国語も数学も学ぶのに、その2つがペアになって使われることはなく、数字を使ってストーリーを伝えられる先生がいない」という問題を紹介し、近年テクノロジーの力でより多くのデータを集められるようになり、それらのデータを理解したいという欲求は高まっており、データを視覚化してストーリーを伝えることは、大量のデータを価値ある情報に変え、良い意思決定をするためのカギになると話します。
次に寳氏がストーリーに惹きつけられる理由です。
ストーリーは「はじめ」「中間」「終わり」の三幕構成で成り立ち、これらをビジネスに置き換えると、次のようになります。
第一幕:ゴールを定める
第二幕:打ち手を実行する
第三幕:ゴールを達成して成長を続ける
ストーリーはゴールと成果に密接に結びついているとも述べます。
また、寳氏が板谷越氏とKT(田中香織)氏の言葉で響いた内容を紹介しました。
板谷越氏:データもストーリーも、成果に結びついてはじめて意味があるのだと思っています。
KT氏:私たちはデータを見ているというよりは、データのその先にある人や世界と対話しているのです。
最後に、寳氏は冒頭に提示された問題に対して、「今回の講師は数字を使ってストーリーを伝えられる先生」だと紹介して、第一部と第二部への橋渡しをしました。
板谷越 英美 氏(株式会社リクルートライフスタイル)
第一部は、株式会社リクルートライフスタイルの板谷越 英美 氏より、
「事業成果を「データ」で確実に生み出す鍵 “データストーリーテリング” ~年間6億円の収益を生み出したダッシュボードと成果、その後と、データドリブンで本当に大切なこと~」
というテーマで80分の講演がありました。
板谷越氏の講演は、会場に響き渡る大きな声での挨拶から始まりました。ストーリーテリングの講演だけに、自己紹介から非常に魅力的な話術を展開されます。
冒頭から本日の講演の結論をお話しいただきました。
データストーリーテリングの技術は、
の2点があり、データストーリーテリングとは「データを使った物語で、“伝え” “期待するアクションを得る” 技術」と定義します。
なぜなら何かを”伝える”ときには、必ず相手に”何かのアクションを期待している”前提があるからです。
次に、なぜ「ストーリー」なのか? の真意に迫っていきます。
「ストーリー」と聞くと「過程」を思い描きがちですが、「データストーリーテリング」のニーズが増しているのは、「事業・ビジネス成果」につながる人の「行動」を、データ活用という「手段」で実現したい、という「強い目的主義的欲求」が増しているため、と説明しました。
加えて、データを有効に使える企業が増え、INPUT(データ・処理)にボトルネックがあったものが時代とともに解消され、OUTPUTにボトルネックが移動したことで、データ活用に成果がより求められるようになっているとも述べます。
ここまでが背景の話です。
ここまでが前提の話であり、本編では、ダッシュボードの作り方やポイント、その後についてお話がありました。
本質的には、BtoB、BtoCは変わりません。構成要素としては大きく2つあり、「明確なゴール・ストーリー」と「適切なデザイン」です。これらを実現するためには、関係者を巻き込んでロープレ・レポート改修を大量に重ねることが重要です。その結果、年間6億円の売上貢献に繋がったダッシュボードが誕生しました。
その後も、最初は1~2年だけ事業価値があればいいだけのレポートだったにも関わらず、価値が持続可能な状態になり、使い続けられました。さらに改良を重ね、他データ活用案件でも成果が再現できたと紹介します。
また、再現性を高めるための「データストーリーテリング実践シート」の紹介があり、現場に戻ってから役立つツールをご提供いただきました。
次に、データ活用のノウハウ・ドゥハウのお話に移ります。
すぐに現場に活きる興味深いお話ばかりで、中でも、周りを巻き込むための“魔法の一言”を参加者全員で唱和して会場が盛りあがりました。
また、講演全般を通して、データに関わる人だけではなく、営業・デザイナー・コンサルタント・経営者など幅広い方々にデータを活用するメリットが伝わりました。特に、データを扱う担当者だけで完結するわけではなく、様々な協力者がいてこそデータストーリーテリングが完成することは、非常に深い気付きだったのではないでしょうか。
講演後には数多くの質問にお答えいただき、第一部の幕を閉じました。
KT(田中 香織) 氏(Tableau Japan 株式会社)
本編第二部は、Tableau Japan Tableau Jedi MasterのKT(田中香織)氏より、
「データのその先にある世界をストーリーで解き明かす ~Visual Analyticsの科学」
というテーマで講演がありました。
まず始めに、KT氏がプライベートで体験したデータの可能性の素晴らしさを通じ、寳氏が紹介をした「私たちはデータを通してその先にいる人と世界を見ている」の核心に迫っていきます。
データ分析をしようという考えではなく、やりたいことをデータを通してやっていく。ここでは、テクノロジーを駆使しようという意識が大事で、自分の想像力を活かすことがキーとなります。人の動きを知ることが本来の目的であり、データの向こうに必ず世界や人があることが重要です。
上記を踏まえて、講演の本題へと移ります。
データリテラシーを考える上で重要な二つのスキルセットとして、前半後半で紹介があります。
ここで、KT氏がこれまで何度も伝えてきたTableauの言葉を用います。
“We help people see and understand data.”
Tableauは単なる道具ですが、人が自然な動作の中で自身の身体能力を拡張することのできる優れた道具です。人は道具を使うことで進化してきました。だからTableauのような道具は人を進化させると信じています。
続いて、前提知識として大変重要な、ビジュアル・アナリティクスのサイクルの図についてです。
ビジュアル・アナリティクスのスタートは、タスクを取ってくることから。ゴールが決まっていることが大事です。しかし、データの取得から始まるケースも多々あります。かつてはデータを取得するのに膨大な時間がかかりましたが、今では瞬時に終わるようになり、データを取得することがゴールではありません。ビジュアル・アナリティクスのサイクルで大事なのは、タスク(ゴール)を忘れないようにすることと、人が中心にいることです。
ここから、講演の前半である「ストーリーテリング」について、全員参加するクイズやTableauデモを交えて話が進んでいきます。
Tableauデモの前に、KT氏よりストーリーの意義は以下の2点であると説明があります。
デモは、Tableauを使用していない人でもついていけるように適宜説明を交えて進み、本質的なデータビジュアリゼーションを披露されているため、少しでもデータに関わる人は絶対に知っておくべき内容が盛り込まれていました。
一通りのデモ後に、ストーリーの作り方について紹介があります。
5W1Hの4Wに合わせデータを分類し、起承転結に沿って順番を配置します。
ストーリーテリングは文章を作るのと同じなので、4Wを上手く使い、起承転結を意識することだと前半をまとめます。
続いて、後半の「データビジュアリゼーション」へと話は移ります。
前半でストーリーの作り方を学んだため、後半はどのようなビジュアルを使うと良いか?に焦点を当てていきます。
そもそもデータをビジュアル化する必要性について、脳の仕組みを知る必要があります。選ばれた人しかわからないようなデータ、表現ではNGで、みんなで合意してアクションし、正しい結論に導かれるようにデータを使うのです。だからビジュアル化する必要があります。先程紹介したビジュアル・アナリティクスのような、私たちの視覚能力を活かして認識を拡大するデータの表現方法が有効です。読まなくてよいものは見てわかるようにすることで、脳の力を思索に振り向けるのです。
次に後半でキーワードになっている「Preattentive Attributes」について迫っていきます。Preattentiveを日本語に訳すと、“前注意的な”です。人間が考えなくても理解できるもので視覚属性を上手く使ってビジュアライズしていきます。デモを交えて紹介されるため、わかりやすいです。
データビジュアリゼーションがチャート化であるという考えを捨てて、データに適切なPreattentive Attributesをあてがうことだと知ってほしい。視覚化は無限の組み合わせがあるので、Preattentive Attributesを意識してほしい。人の脳が瞬時に理解できるPreattentive Attributesを知ることで、データのタイプとPreattentive Attributesの相性を合わせられます。AIが出ても最後の1ピースは、データと伝えたい内容を考えて自分で選んでいく必要があり、これがデータビジュアリゼーションの楽しさだと言います。
また、データビジュアリゼーションをしようと思った時に、「何がほしい?」と聞いてはいけません。「何がほしい?」ではなく、「何がしたいの?」と聞くべきです。人は知らないものをほしいとは言えないため、したいことを聞くことが大事です。「ほしい」と「したい」が混ざっているケースがあると強調します。
最後に本日の講義の内容をまとめました。
「データビジュアリゼーションが完全に自動化されることはない。言葉だから、人間が絶対に介するものだと思っている。何度も修練したら、データから世界を解き明かす新しい言葉を使えるようになる。データドリブンカルチャーは、すべての人がデータストーリーテリングで会話できるようになって初めて成立する。言葉を学ぶことは文化を学ぶことである。自分自身が情報を精査できる力を持っていることが大事。だから、全ての人がデータを見て、理解できる力を持っておくべき」
と、KT氏からの熱いメッセージが結びとなりました。
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