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活動報告
2012年5月17日、川崎市産業振興会館にてアクセス解析サミット2012が開催されました。8名の方々にご登壇いただき、「データをアクションに!」というテーマで、7時間半にわたってそれぞれの立場でのお話をいただきました。約300名の参加をいただき、ありがとうございました。
このアクセス解析サミット2012の模様を、前編と後編の2回に分けてお送りします(後編はこちら)。
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オープニングの基調講演では、ヤフーの安宅氏から、より重要な課題に対していかにして明確な答えを出していくか、その方法論や考え方についてのお話をいただきました。著書『イシューからはじめよ』でも書かれた、まず何を本質的な問題として定義し、どう解決に向けて進めるべきかを、インパクトのある刺激的な言葉を交えながら紹介されました。
価値のある仕事をするには、取り組む必要性の高い(イシュー度の高い)課題を確実に見つけ、かつそれに明確に答えを出していかなければいけません。その課題にたどり着くのに「犬の道」をかき分けるのではなく、高い生産性を保ってアプローチしなければならない、とします。そのイシューの特定のために、いくつかの必要な点を挙げました。
・強引にでも仮説を立てる
・一次情報に触れる
・基本情報を押さえる
・意図的にざっくりやる
思いこみで進めず、分析の前に確実にこの課題の明確化が必要、と説きます。その後は仮説を元に、ストーリーとしての分析イメージを作り、メッセージを立て、改めてふさわしい表現法に書き直すことで、「良い分析」になるとします。
精密さより、いかに重要度の低い課題を振り落として重要な課題を見極めるか、それが生産性を高める方法であるとし、講演を締めくくりました。
ビッグデータ時代における顧客インサイトに基づく、適切なコミュニケーションデザインによるカスタマーエクスペリエンスの向上について
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スタートトゥデイの清水氏から、顧客のインサイトの把握と最適なコミュニケーションデザインのための組織作り、そこからのカスタマーエクスペリエンスの向上について、お話しいただきました。
顧客のインサイトの把握のために、特にペルソナを詳細に作り上げている取り組みが紹介されました。デプスインタビューやエスノグラフィなどをもとに、属性や性格、価値観、ライフスタイルまで作り上げ、これに向けて「Life Cycle Based Marketing」と「Event Based Marketing」を展開しているとのこと。「Event Based Marketing (EBM)」は、お客様が最も耳を傾けやすいタイミングでコミュニケーションすることを主眼においた考え方で、商品やサービスありきでアプローチするのではなく、お客様の購買行動の変化を察知してアプローチするもの。従来のCRMとの対比で提示された、お客様との友達のような関係性を目指す「CFM (Customer Friendship Management)」と併せて、スタートトゥデイの基本的な考え方であるとします。顧客とのコミュニケーションの最適化のために、顧客のイベントの抽出、そこからのコミュニケーションタイミングと頻度の調整、マーケティングオートメーションを、ツールの導入とともに実施されています。
もともとユニークな個性の集まりが企業組織を支え、ECのシステムを内製で開発、サービス提供しているところが大きな特長でもあるとし、その自社内で完結できる体制づくりとマーケティングオートメーション、そして上記のマーケティング手法が、今日のスタートトゥデイを形成していると言えます。「分析のための分析ではなく、アクションに繋がる分析を重視」しているという言葉もあり、顧客とのコミュニケーションをいかに最適にしていくかという姿勢が窺えました。
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ユーザーローカル 渡邊氏 | AMN 高柳氏 |
ユーザーローカルの渡邊氏からは、アジャイルメディア・ネットワークの高柳氏とともに、ソーシャルメディアでの分析軸や企業での効果測定の事例などを発表していただきました。
まず、ユーザーローカル渡邊氏が登壇。Webサイトの一般的なアクセス解析とは異なり、ソーシャルメディアの分析は「流入の分析」にとどまらず、運用アカウントやファンの分析、ブランドの評判のモニタリングなど、多岐に渡ると指摘します。それを受けて登壇したアジャイルメディア・ネットワーク高柳氏は、書籍『グランズウェル』を引用し、「傾聴」「会話」「活性化」「支援」「統合」の5つのステップでソーシャルメディアを活用することで、効果的なマーケティングができるとします。その中でも重要なのは傾聴と会話であり、その点に重点を置いた事例を紹介されました。
カルビーの新製品「オリーブオイルポテトチップス」の事例で、発売の際にTwitterを活用したお題投稿キャンペーンを実施、そこで重点を置いて取り組んだのが傾聴と会話で、「生の声を聞く」ということでした。また、商品を購入かつソーシャルメディア上で影響力のある人「アンバサダー」を見分けることが重要であるとし、、コミュニケーションの優先付けに生かすことができるとしました。コミュニティがソーシャルメディア上で分断するようになったこともあり、コミュニティにおけるHUB的役割を持つアンバサダーが、企業にとっても重要な役割を帯びてきます。
再度、渡邊氏が壇上に戻り、ファンの分析や傾聴、影響力のある人の分析をどのような形で進めればよいのかを、自社のソーシャルメディア分析ツール「Social Insight」の機能と絡めながら、紹介しました。
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リクルートの勝田氏からは、住まい探しサイト「SUUMO」でのスマートフォンマーケティング、特にアプリでの改善の事例や、サイトを含めた集客施策の取り組み内容について、お話いただきました。
前半は、いかにアプリ経由でアクションを起こしてもらうかという目的の中、PCサイトとアプリの比較とあわせて、さまざまな仮説を検証した具体的な内容を紹介されました。
前半では、利用の状況やユーザー行動について、想定していた仮説とともに検証し、その差異の原因推測や施策への展開などを、具体的な数値とともに披露。新規率や直帰率の違い、平均PV数や時間帯の違いなど、多くの取り組みが紹介されました。iPhoneとAndroidでブックマーク機能経由の資料請求が大きく異なるのはデバイスのインターフェースの差ではないか、スマートフォンならではのGPS機能や直接電話での問い合わせは想定よりもかなり低い利用であったなど、興味深い内容も多くありました。
後半では、アプリとブラウザを含めたスマートフォンでの有料集客の施策の取り組みについて紹介。流入施策はPCよりも多くの種類があり、それらを駆使しつつ、アプリはストック型(中長期的反響)、ブラウザはフロー型(短期的反響)という棲み分けでとらえているとのこと。流入元が多種ある一方で、アプリ側でのその分析が非常に困難であることや、その中で可能な対応策も紹介され、現在進行形ならではの苦労が窺えました。
「予期せぬトラブルが多く、チャレンジして転びながら進んでいく」というメッセージが印象的でした。
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