活動報告

| 開催日時 | 2025/11/18(火) |
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| 会場 | 渋谷 |
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11月18日に開催された大型イベント「a2i秋の広告祭」で、株式会社電通デジタルのソリューション戦略部 データサイエンスグループ マネージャーの吉田 秀穂氏が、「IDレス時代の因果推論:MMMとCausal Impactの実践」について講演を行いました。
MMM(エムエムエム)、そしてCausal Impact (コーザルインパクト)は、どちらも統計手法を使った因果推論の取り組みです。
MMMは古くからあるマーケティング手法の一般名称ですが、Googleがオープンソースで Meridianと呼ばれるMMMパッケージをリリースし、にわかに注目を浴びています。
もう一つのCausal ImpactもやはりGoogleがオープンソースとして無償で提供しているパッケージです。
MMMとCausal Impactは、ここ数年の米国のマーケティングコンファレンスや広告のイベントでは、必ず取り上げられるホットなテーマになっています。
日本でも今年から来年に向けて注目されることは間違い無いでしょう。
吉田氏のセッションでは、MMMとCausal Impactとは、それぞれいったい何なのか?どんな手法なのか、その基本が丁寧に解説されました。

吉田 秀穂氏(株式会社電通デジタル)
マーケティング効果測定にはいくつかの類型がありますが、大きく3つに分けることができます。
GA4などがある。Cookieやモバイル広告IDなどによる計測集計をベースとするもの。
Cookieやモバイル広告IDをベースに、ユーザーひとり一人の行動を計測する。
施策や成果の時系列の数値データをもとに、統計的な枠組みを使って因果関係を導き出す因果推論の手法を使って計測する。具体的には MMM、Causal Impact など。
なぜ、時系列データに基づく因果推論が重要なのか? そしてなぜ今、注目されているのか?
プライバシー保護の機運が高まる中、Cookie規制が厳しくなり、ユーザーを特定するためのIDが繋がらなくなってきたからです。
媒体横断の計測や、ユーザー行動を見ることが、難しくなってきました。
Cookieなどのユーザーに付けたIDに依存しない方法が求められるようになってきました。
その中で、実は古くからあったMMMなどの手法が改めて脚光を浴びはじめています。
Googleはいずれもオープンソースのパッケージとして、MeridianというMMMや、Causal Impactをリリースしています。
MMM = Marketing Mix Modelingは、獲得数や売上などの「成果」の増減と、広告メディアの出稿量の推移を見て、その影響度を分析します。
その際、広告の数値だけでなく、季節性や外的要因なども変数として加味して、そこから統計モデルの数式を導き出していきます。
これにより広告メディアの成果に対する貢献度を推定したり、将来の成果をシミュレーションすることができるようになります。
成果へのメディアチャネルごとの貢献度、投資対効果(ROI)、最適な予算配分を導きます。

MMMは、ただツールを導入すれば終わり、という取り組みではなく、最終的に最適化を実践するまでには、大きく5つのステップが必要と言われています。

MMMはある程度歴史のある手法ですが、統計手法の発展や計算能力の向上などで、分析手法も進化しています。
電通グループでは、Googleとの共同研究を実施し、その結果を詳細なMMMホワイトペーパーとして公開しています。そのホワイトペーパーでは、より具体的な実践方法を網羅的にかつ詳細に掲載しています。
電通デジタルには、これまでの経験の積み重ねで、業種別の知見などが蓄積されています。そういった面でもMMM分析に強みを持っています。
マーケティングROIを正しく評価するための「MMMガイドブック」 電通デジタル
次に、Causal Impact(コーザルインパクト)について概要を紹介します。
これは、特定のキャンペーンなど対象の施策を実施した際の効果、因果関係のある効果を確かめるための手法です。
施策を実施しなかった時の推移と、実施した際の推移を統計的に比較分析して、その成果による純増分を定量化することができます。
この手法は、対象とする施策が必ずしもデジタルでのキャンペーンである必要はありません。オフラインでの来店や売上などでも評価することができます。
また、効果があるとしても、それがやがて頭打ちになるのか? 時系列の効果を推定することもできます。

Causal Impactを精緻に分析するためには、効果を実施していない推移を出す必要があります。
一般的によく取られる手法として、地域分割の取り組みがあります。広告を配信する地域と、配信しない地域を設定することで、施策がある推移と施策がない推移のデータが得られます。
必ずしも地域別でなくても、施策実施時と施策がない時の推移が似ていれば、Causal Impactは適用できます。
ただ、この選択が分析の要でもあるので、統計知識や分析経験が必要になってきます。
Causal ImpactもMMMと同様に、実践のための5つのステップというのがあります

時系列データと因果推論の手法を、従来の効果分析手法に加えて、補完的にとりいれていく戦略が重要になります。その中でもMMMやCausal Impactは代表的で強力な手法となります。
統計的な因果推論では、ただツールを実行するだけではなく、統計的セオリーに基づく適切な分析プロセスをとることが、精度高い成果を上げるために重要です。正しいステップを経ることで、より満足できる納得感が得られます。
何よりもデータ環境の整備が大切です。MMMでは、2年間など比較的長期のデータが必要です。分析に取り掛かってはじめてデータが揃っていないことに気づく、という現場も意外に多いのです。日頃からデータ基盤を整えて、データベース化しておくことが大切です。

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