活動報告

開催日時 2023/08/23(水)
会場 オンラインセミナー

2023年8月23日に、オンラインでセミナー「ヒートマップ分析によるUX改善で叶えるSEO/CRO」を開催いたしました。第一部では株式会社Faber Companyの市川莉緒氏がSEOコンテンツのUX改善について、第二部では同社の岩本庸佑氏が効果的にPDCAサイクルを回すCROの取り組みについて解説しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

レポート執筆 西 倫英

第一部:UX改善でSEO施策を加速する:ヒートマップ活用法

市川 莉緒 氏(株式会社Faber Company)

SEOの本来の目的は「ユーザーに満足してもらう」こと

第一部では、市川氏が「ヒートマップ分析」「UX」「SEO」をテーマにSEOコンテンツの改善方法について解説しました。ヒートマップは、ひとことで言うと「ページ内のユーザー行動を可視化」するツールのこと。同社のミエルカヒートマップでは、次の3つのことがわかります。

  • アテンションヒートマップ(熟読箇所)
  • スクロールヒートマップ(離脱箇所)
  • クリックヒートマップ(クリック箇所)

市川氏はSEOの目的として「ユーザーに満足してもらうこと」「収益に貢献すること」の2つを挙げました。順位獲得はそのための手段でしかありません。それらの目的を満たすためには、訪れたユーザーがそのページでどのような行動を取っているかを知る必要があります。

SEOコンテンツで意識したいUX3選

市川氏は、SEOコンテンツで意識したいUXとして次の3つを順に説明しました。

  • 最適なコンテンツを最適なタイミングで
  • LPと同じ。ファーストビューはシンプルに
  • キーワードの詰め込みは意味がない

ページ内の行動を分析するには、ヒートマップが効果的です。
アテンションヒートマップを使った熟読箇所とユーザーの興味関心ポイントの分析、クリックヒートマップを利用した導線の最適化、スクロールヒートマップによる離脱箇所の分析など、同社のオウンドメディア「ミエルカジャーナル」をはじめとしたサイトを例に挙げながら、具体的なヒートマップ活用のポイントが示されました。

第二部:事例で学ぶ:ヒートマップを用いたPDCAサイクルによるCRO活動の失敗と成功

岩本 庸佑 氏(株式会社Faber Company)

PDCAサイクルは「スピード感を持ってたくさん回す」

第二部では、同社の岩本氏がPDCAサイクルを回すCROの取り組みについて紹介しました。同氏は、PDCAサイクルで重要なのは「スピード感を持って、回数多くサイクルを回すこと」と強調します。そのためにPDCAサイクルを回せるような仕組み作りが必要です。
CROの主な流れは次のとおりです。

  • 対象ページ選定
  • 課題箇所とグロースポイント抽出
  • 課題解決・仮説設計
  • 施策設計
  • 施策検証
  • 結果分析

施策起点ではなく課題起点で取り組む

岩本氏は「課題起点でCROに取り組む」ことを推奨します。課題起点とは、何を解決したいのかを明確にしてから施策を考えることです。それに対して施策起点とは、例えば「グローバルメニューが英語でわかりにくいから日本語にしよう」という発想で施策に取り組んでしまうことを指します。

本来解決したいのは「グローバルメニューが使われていない・見られていない」といった課題のはずです。課題起点で施策を考えるには「なぜそれに気付いたのか?」のソースを明らかにして、さらに「なぜそのような状態になっていると思うか?」という仮要因をいくつも考えます。挙げた仮要因をグルーピングし、例えば「わかりづらい」「気づきづらい」「使いづらい」の3つにグルーピングできたら、それから施策を考えるわけです。

分析の方法には、GAなどの数値分析、競合比較分析、ヒューリスティック分析、ヒートマップ分析など多くの種類がありますが、それぞれ特徴と使うシーンが異なります。例えば数値分析で対象となるページを洗い出したら、ページ内の行動をヒートマップで分析します。仮説を立てる際には、競合比較分析やヒューリスティック分析が役立ちます。

岩本氏は、車の販売サイトやスマートフォンの販売サイト、プライベートジムのLPを例に挙げながら分析や施策の実例、ヒートマップの活用例を紹介しました。

質疑応答

質疑応答では、ヒートマップの活用法や同社が提供しているミエルカヒートマップについての質問が寄せられました。

人気のあるコンテンツをファーストビューに配置すると離脱してしまうが、問題ないか?
市川氏:ユーザーがそのコンテンツを求めていて、満足しているならそれでいいと思う。ページの下まで読んでもらうことが目的ではない。
岩本氏:もし質問の意図が「コンテンツを遷移した後の離脱率が高い」ということなら、意思決定するための情報収集プロセスが足りないまま遷移してしまっているのかもしれない。その場合は、必要な情報にきちんと触れてもらえるように考える必要はある。

コーポレートサイトでのヒートマップの使い方は?
岩本氏:コーポレートサイトとサービスサイトが分かれていないなら、通常のサイトと変わらない。コーポレートサイトのみの場合は、採用やブランディングなどの目的があるはず。その導線をどこに置くべきなのかを考える際にヒートマップを活用できる。

ミエルカヒートマップにセグメントを分ける機能はある?
市川氏:流入元でざっくり切ることも、UTMパラメータで分けることもできる。そのページ内にある要素であれば、特定のリンクをクリックしたユーザーとしていないユーザーで分けて見ることもできる。

GA、競合比較、ヒートマップと1人で分析するのが難しい。いい方法は?
岩本氏:それぞれ使うシーンが異なる。GAは比較的初期のタイミングで、サイト全体の把握に見ていただく。競合比較とヒートマップは、御社がシェア1位や2位であればヒートマップで自社サイトの改善を、まだシェアが低いなら競合比較を優先してやるのがいいと思う。

申し込みボタンは常に上部にあったほうがいい気がするが、どうか?
市川氏:テストして試していただくのが一番いい。商材によっても変わるので、おっしゃるとおりボタンが上部にあったほうがいいという場合もありえる。

これまでGoogleオプティマイズでA/Bテストをしていた。それと比べてヒートマップで便利なことは?
市川氏:Googleオプティマイズとヒートマップでは目的が違う。ただ、ミエルカヒートマップでもA/Bテスト機能をリリースできるようにがんばっている。
岩本氏:国内ではDLPOさんなどがメジャー。Faber Companyもがんばっているので期待してほしい。

出演講師

市川 莉緒

株式会社Faber Company
Integrated UX Strategist and Development Lead

詳細プロフィールを見る

岩本 庸佑

株式会社FaberCompany
CRO/Analyticsチーム エレファントマネージャー

詳細プロフィールを見る

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