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活動報告
開催日時 | 2022/12/21(水) |
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2022年12月21日に「Looker Studio(旧データポータル)活用術」セミナーを開催いたしました。Looker StudioはGoogleが提供するBIツールで、多種多様なデータを取り込んで視覚化できます。セミナーでは、株式会社MOLTSの西 正広氏と株式会社JADEの篠原 誠氏が、Looker Studioの活用法を解説しました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
レポート執筆
西 倫英
西 正広氏(株式会社MOLTS)
第一部では、西 正広氏がLooker Studioの概要とGA4のデータを可視化する方法を解説しました。
Looker StudioはGoogleが提供する無償のBI・ダッシュボードツールで、以前は「Googleデータポータル」と呼ばれていたものです。西氏はLooker Studioを利用するメリットとして「レポート作成作業の効率化」「深掘分析」「モニタリングの実現」「コラボレーション」の4つを挙げました。Looker Studioは一度設定さえすればあとはデータが自動で更新されていくので、日々のモニタリングに適しています。
セミナーでは、実際の設定画面を交えてGA4のデータからLooker Studioでダッシュボードを作る手順を解説しました。Looker Studioで空のレポートを作成してデータソースにGA4のプロパティを選択すれば、GA4との接続は完了です。
GA4では、ページビューもクリックもデータ送信はすべて「イベント」として扱われます。Looker Studioでは「ディメンション」と「指標」を使用しますが、ディメンションは「項目」、指標はそれにひもづく「値」のことを指します。
西氏は、続いて「サマリーレポート」「集客レポート」「コンテンツ分析レポート」を作成する具体的な手順を紹介しました。
「サマリーレポート」では、まず「期間設定」のコントロールを追加し、個別の指標は「スコアカード」を並べていきます。計算フィールドを使えば、独自の計算指標を作ることも可能です。注意点として、棒グラフですべての棒が表示されていないときは、スタイルから「棒の数」の変更が必要になります。
「集客レポート」は、Webサイトの流入経路を調べるレポートです。GA4では「セッションの参照元」「ユーザーの参照元」のように、セッションとユーザーでディメンションが分かれています。それぞれ数値が異なるので、目的に応じて使い分けが必要です。
「コンテンツレポート」は、どのページがよく閲覧されているかのレポートです。GA4ではページ系のディメンションが非常に多くありますが、西氏は「ページタイトル」「ホスト名」「ページパスとスクリーンクラス」の組み合わせがおすすめと説明します。
共有することが目的のレポートなら、可能な限りオブジェクトを絞るのがおすすめです。オブジェクトが多いと、レポートを見た人がどこに着目すべきかがわからなくなってしまうからです。
そのほか、ヘッダーを用意する、小数点は第一位程度に抑える、サードパーティーのツールでツールチップ(ヒント)を付けるといった具体的なヒントも紹介されました。
次に西氏が紹介したのは、作成済みのUAのレポートをGA4に移行する方法です。UAで利用しているディメンションに対応するGA4のディメンションを洗い出して、元のレポートは残したまま、GA4のレポートを新しく作成します。
ただし、UAのコンバージョンはセッションでカウントされ、GA4のコンバージョンはイベントでカウントされるという定義の違いから、両者の数値が乖離することがあります。そのため移行時には、数字の定義をどうするかを決めることが必要です。
西氏は、Looker StudioとGA4の「探索」機能の使い分けについても触れました。一覧性や共有の利便性はLooker Studioのほうが上ですが、Looker Studioは利用可能なディメンション・指標やセグメントなどに制約があります。共有するならLooker Studio、詳細な分析をするならGA4の「探索」レポート、という具合に使い分けるのがおすすめです。
いくつか制約はあるものの、西氏は「GA4のデータを扱うなら、Looker Studioの利用がおすすめ」と説明します。Looker Studioに慣れるには、とにかく使ってみること。「Looker StudioもGA4も無料のツールなので、楽しむつもりでいろいろ試してみてください」と勧めて、第一部を終えました。
篠原 誠氏(株式会社JADE)
第二部では、篠原 誠氏がLooker StudioをSEOで活用する方法を初級・中級・上級に分けて紹介しました。
篠原氏は「そもそも何のためにデータを取るのか」という目的からひも解いていきます。サーチコンソールのデータを取得する理由は、検索からの集客状況を知るためです。検索からの集客状況を知ると、検索の状態や改善案を検討できるようになります。Looker Studioでは、その目的を達成するためのレポートを作っていくわけです。
サーチコンソールはそのままでは見られるデータが最大1,000行に限られますが、Looker Studioと接続することで、見られるデータが1日50,000行まで増加します。また、Looker Studioを使えばクエリとURLを一緒に確認でき、定点観測もしやすくなるなど複数のメリットがあります。
篠原氏は、動画を使ってLooker Studioのレポートを一から作成する手順を紹介しました。同氏は「わからないことがあったら、その都度公式のヘルプを見ることが大切」と説明します。
サーチコンソールのデータを接続しようとするとき、最初に迷うのが「サイトのインプレッション」と「URLのインプレッション」のどちらを選べばいいのかということです。
「サイトのインプレッション」は、サイトの全体像や全体の推移を知りたいときに利用します。ただし、ランディングページ別のデータは取れません。「URLのインプレッション」はURL別のデータを取れるので、細かいデータを確認したい場合はこちらを利用します。両者は1枚のレポート内で併用可能です。
篠原氏は、実際に両者のデータを1枚のレポートに並べる手順を動画で解説しました。まず「サイトのインプレッション」の全体のグラフを追加し、続いて「データを追加」メニューから「URLのインプレッション」を追加します。これでデータソースが2つになるので、「リソース」にある「追加済みデータソースの管理」から両者をわかりやすい名前に変更します。篠原氏は「後から混乱するので、名前の変更は最初に必ず行ったほうがいい」と強調します。
中級編では、次の2つのレポートを作成する手順を解説しました。
これらのレポートを作成するには、関数と正規表現を使う必要があります。篠原氏は初心者に向けて、書き換えればそのまま使える関数の記述例を紹介しました。
「REGEXP_CONTEINS」の記述を使って「○○あるいは△△を含む」という関数を作成すれば、その関数をフィルタとして設定することでデータを絞り込めます。正規表現を併用することで「特定の文字列を含むものと含まないもの」を比較するレポートを簡単に作成可能です。
注意点として、正規表現を設定したら必ず検証をする必要があります。正しく設定したつもりでも、思わぬ結果になっていることがあるからです。
ディレクトリ別の検索流入を見るにはCASE文を利用します。指名検索と同様、関数をフィルタとして追加することでディレクトリごとのインプレッション数やクリック数の推移を見られるようになります。
例ではURLを条件にディレクトリ別のデータを可視化する設定方法が解説されましたが、クエリを条件にCASE文を記述すると、クエリ群を比較して観測することも可能です。
注意点としては、CASE文は上から処理されるので、記述順序が重要なことが挙げられます。こちらも設定したら必ず検証が必要です。
上級編では、Webページ以外の画像や動画の検索について軽く触れられました。画像や動画の検索データをLooker Studioに取り込むには、データソースを選択するときに「検索タイプ」で「web」ではなく「image」や「video」を選択します。これを応用すると、画像検索や動画検索だけでなくDiscoverにも活用でき、Web以外の集客状況を検知するのに役立ちます。
そのほかのトピックとして、ラベルや基準値の追加、傾向線の追加、Ahrefsとの接続といった機能も紹介されました。最後に篠原氏は「検索のデータを見て、サイト改善につなげていきましょう」と話し、セミナーを締めくくりました。
セミナー終了後も多くの質問が寄せられました。Q&Aでは、セミナー内で紹介された設定画面について具体的な質問が投げかけられ、西氏と篠原氏がていねいに回答しました。
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