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活動報告
2013年5月15日、川崎市産業振興会館にてアクセス解析サミット2013が開催されました。合計10名の講演者にご登壇いただき、「顧客をつかむデータアナリティクス!」というテーマで、約8時間にわたってお話をいただきました。約300名の参加をいただき、ありがとうございました。
このアクセス解析サミット2013の模様を、前編と後編に分けてお送りします。前編は、サイバーエージェント、良品計画とネットイヤーグループ、オイシックスの各講演です(「後編」はこちら)。
アクセス解析サミット2013「顧客をつかむデータアナリティクス!」
主催:アクセス解析イニシアチブ、財団法人川崎市産業振興財団
日時:2013年5月15日(水) 10:00〜18:00
場所:川崎市産業振興会館 1階大ホール
株式会社サイバーエージェント 古賀亘氏
トップバッターは、サイバーエージェントAmeba事業本部のセントラルデータコンサルティング室室長の古賀氏。Ameba事業本部にセントラルデータコンサルティング室(CDC室)をなぜ設置したのか、その意図と現在の組織内での取り組みを語りました。
2012年にAmebaのメディア事業を企業として本気で進めるべく、収益の中心であるゲームの分析集団を作り、Ameba事業の売り上げを最大化するための組織としてCDC室が設置されたとのこと。それまでゲーム開発の部門には右脳が強いメンバーが多かったけれども、データを論理的に分析することで期待効果の高い順に適切に施策が行えるようになったと話します。
ユーザーの継続率、キャンペーンやイベントの効果や参加率、またユーザーをクラスタリング分析することで、どのようなユーザーがどのような行動をしているかを把握、その事実から仮説立案をし、ゲームを継続してもらうことを優先した施策などにつなげているようです。
分析する上で重要なことは「データを適切に読み取り、仮説を立てること」の2つを挙げました。
今後は、Amebaというプラットフォームを活かし、データ分析から施策までをより連携させて行う一方で、より組織的なナレッジの共有や仕組み作りなど、世界で戦えるような高水準の環境作りを目指したいとして、講演を締めくくりました。
株式会社サイバーエージェント 岡山ひろみ氏、小川卓氏
続けて、サイバーエージェントより、Ameba事業本部コミュニティゲームユニット モググループの岡山氏と、Ameba事業本部CDC室アナリストの小川氏から、実際のコミュニティゲームの事例をお話いただきました。
「モグ」は250万人の会員が利用する料理コミュニティゲームで、リリースから2年半が経つもいまだ成長を続けるAmebaの主要ゲーム。体制も整備され、機能追加前に関係者が仮説を立てて実施する「体感テスト」や、日単位のKPIからイベント開催期間中のチューニングを行うなど、高速でPDCAを回しているという。また「KPT (Keep Problem Try)」と題した取り組みを毎イベント3日後に実施し、チーム全員による振り返りと次への施策やフィードバックの洗い出しを行っている様子も紹介されました。岡山氏は「高速PDCAには、仮説、体感、検証が必要」と述べます。
小川氏からは、自社ツールやGoogleアナリティクスを活用した実際の分析から改善までの取り組み例を紹介。「分析と施策と感性が、三位一体となって売り上げ貢献につながらなければならない」とします。また、プロデューサーとアナリストという役割の違いから来るコミュニケーションや意識の違いを取り上げ、いくつかのアドバイスを提示しました。「アナリストは施策のための分析を行うべきで、分析に50%以上の時間を使ってはならない」という言葉も印象的でした。
株式会社良品計画 奥谷孝司氏
ネットイヤーグループ株式会社 中島直樹氏
良品計画とネットイヤーグループからは、無印良品でのオフラインとオンラインを含めた行動の可視化とデータ解析の取り組みについての講演をいただきました。
まず良品計画のweb事業部部長の奥谷氏より、良品計画として「無印良品ネットストア」をどう捉え、どう戦略づけているのかをお話いただきました。「ネットストア」は全店舗の中で最大店舗として成長し続けているものの、売上構成比はそれほど大きくないことをまず挙げ、web事業部の役割としては「ネットとリアルの融合を進めること」が最優先だとします。お客様が無印良品と時間を共有する「顧客時間」というブランド体験を可視化し、それをいかに活性化させて売り上げにつなげていくかが、情報過多かつモノ余りの時代に無印良品のデジタルマーケティングを進める鍵であるとします。
ネットイヤーグループ中島氏からは、より具体的な取り組み内容についてお話しいただきました。ソーシャルメディアをはじめとした顧客接点のメディア価値をリーチ数などから金額換算し社内指標として利用、そこから店舗の売り場改善につなげた話や、プロモーション施策からネットへの関与が低い顧客層を活性化させた事例など、具体的な数字と取り組み内容が提示され、興味深い内容が続きました。またこれからのオムニチャネル時代に、スマートフォンとMUJIカードを活用して顧客接点をより連動、活性化させ、これまでの店舗軸と商品軸に詳細な顧客軸での視点を加えた顧客との関係性の構築、「Digital Marketing Platform」の構築を進めたい、という構想の披露で話を締めました。
オイシックス株式会社 米島和広氏
オイシックスの米島氏からは、顧客行動の可視化からの組織変革とビジネスへの貢献についての講演をいただきました。昨年7月まではアクセス解析の取り組みはほとんど行われていなかった中から、基盤を整備しデータの信頼性を向上させ、データの可視化につなげていったとのことです。
特に、担当者別に責任範囲や必要なデータが異なるため、その担当者の利用目的に適切なデータが行き渡るようにしているとします。定例のレポートやファネルレポートを部門ごとに出し分け、時間別の売り上げレポートからの即時の軌道修正や、施策ごとのファネルレポートで担当ごとに改善のアクションが取れるよう、ECならではの高速PDCAを回す工夫が垣間見られました。
短期間でのデータの可視化の取り組みの過程が紹介され、「データを見て改善する人」と「データの正確性を担保する人」を体制として整えるなど、参加者にとっても参考になる部分が多かったのではないでしょうか。
「【レポート】アクセス解析サミット2013 後編」に続きます。
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