【レポート】アクセス解析サミット2011(後編)

アクセス解析サミット20112011年6月2日、川崎市産業振興会館にてアクセス解析サミット2011が開催されました。11名の方々にご登壇いただき、「データを活かせ!チームを動かせ」というテーマで、7時間半にわたってそれぞれの立場でのお話をいただきました。

前編に引き続き、このアクセス解析サミット2011の模様の後編をお送りします。

 

ECナビ ウェブ最適化の取り組み A/Bテストから会社が動いた

株式会社ECナビ
春元 和正 氏

ECナビの春元氏からは、自社サイトでのA/Bテストの取り組みが、会社のメンバーの意識や取り組みの変化に繋がった事例について、お話しいただきました。

A/Bテストで会社にどのような変化が起きたのかとして、「PDCAが回る」だけでなく、「チームの顧客志向への変化」を春元氏は挙げます。A/Bテストを繰り返していくうちに結果に行き詰まり、「ウェブ最適化とは?」という自問に「技術ではなく、人を見ること」という結論にたどり着きます。データという定量的な結果から、「ウェブの向こう側にユーザーがいる」ということを社のメンバーが理解するようになった、それが大きい、と語ります。「データではなくユーザーを可視化」「テクノロジーではなくサイコロジー」という言葉が印象的でした。

その組織のメンバーの意識を動かす取り組み、啓蒙の具体的な方法として、メンバーの選び方やツールの選定方法、情報の共有の仕組みなど、取り組み内容の詳細をお話しいただきました。

興味深いのは、ツールや仕組みそのものの重要性だけではなく、そこから得られる「ユーザーがいまそこにいる感覚」が鍵になっている点。A/Bテストをきっかけに、メンバー全員がお客様と向き合うに至るという、目先の技術からのメリットに終わらず、思想を変えてしまったところに、うなずいた方も多かったのではないでしょうか。

サミット講演関連資料(ECナビ):

 

『個客』視点の行動分析がウェブビジネスを変える!

株式会社コンフォート・マーケティング
内野 明彦 氏

コンフォート・マーケティングの内野氏からは、これまでの訪問視点だけではない「個客」視点での行動分析の重要性について、お話しいただきました。

ログだけからわかる情報には限界があり、どのような思いでユーザーが行動したかなどはわかりにくい、それをユーザーという「個客」を軸にして断片化した情報をつなげて見ることで、ウェブマーケティング全体としての最適化につなげることができる、とします。つまり、これまでのセッションという訪問の視点(タテ)から個客の視点(ヨコ)への転換が必要であると内野氏。

その後、個客行動分析の具体的な手法や事例を、多様なグラフや図解をもとに解説。訪問の履歴を重ねるごとに流入元が変化していく様子やユーザーセグメントごとのコンバージョンに至るまでの流れの図解、コンテンツ閲覧行動分析など、自身の普段のコンサルティングの様子が垣間見れるような内容でした。

そのように個客の行動分析からウェブマーケティング全体の最適化を進めていくことで、アクセス解析の担当者は今後「個客の行動プロセス」というシナリオの設計と評価を担っていくのではないか、と内野氏は推測します。よりウェブマーケティングの鍵を握る存在となり、社内組織の中でのポジションの変化の可能性を指摘しました。

最後に、さらなるタテからヨコへの転換のひとつとして、従来の技術的機能的なテクノロジーの軸でのウェブビジネスの手法(タテ)から、より感情的情緒的な軸(ヨコ)への転換が必要ではないかと、セッションを締めくくりました。

サミット講演関連資料(コンフォートマーケティング):

 

Webマーケッター瞳が探るウェブビジネス現場の研究「データドリブンなチームを目指せ」

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
村上 佳代 氏
ヤフー株式会社
久保井 純 氏
ギルト・グループ株式会社
清水 誠 氏

最後のパネルディスカッションでは、データドリブンな組織のあり方について、CCCの村上氏を進行役に、ヤフーの久保井氏、ギルト・グループの清水氏のそれぞれの立場からお話しをいただきました。

昨年のアクセス解析サミットにて、楽天という大きな組織でのアクセス解析の全社的取り組みについてお話しいただいた清水氏。一方、ヤフーという同じく大きな組織で、アクセス解析とマーケティング活動へのデータ活用に向けて、現在進行形で奮闘されている久保井氏。両者の対照的なお話しを中心に進行しました。

清水氏がまず「データドリブンとは?」について「データありき程度の意味」とし、過大な期待はせずに定性的なデータやテストも必要、とします。村上氏からCCCでの取り組みを少しお話しいただいた後、中盤はデータ活用の全社的取り組みが進められている久保井氏の話が中心となります。

巨大組織であるがゆえの悩みやアクセス解析ツール導入の問題点、組織をどう動かしどうまとめ、どのように啓蒙していくかまで、生々しい悩みを交えて久保井氏からお話しをいただきました。参加者にとっても、規模の大小の違いはあるとはいえ、同様の悩みは持っているだろうことから、共感する点は多かったのではないでしょうか。忍耐強く大きな石を少しずつ動かすような内容のお話しに、うなずく方も多く見られました。
 

全体として

2011年のアクセス解析サミットのテーマは「データを活かせ!チームを動かせ」であり、事例のみならず、その取り組みなどが自社や組織をどう変え、どう動かすのかという話が揃いました。多くのお話しをいただく中、参加者が自身の組織を振り返って当てはめてみる、という場面がそれぞれにあったのではないでしょうか。

もうひとつ、偶然か時代のトレンドか、「数字やデータの向こう側にいるユーザーに向き合わなければならない」という一致したテーマのお話しが、多くのセッションで出てきました。アクセス解析の取り組み自体はある程度広まり、ウェブのデータをしっかり見ていくという文化は少しずつ根付いてきたと思います。その中、数字だけで判断する危険性や、定量データだけではない定性データの把握の必要性、より一歩進んだ顧客志向など、本来のマーケティング活動として当たり前の視点が、やっと声高にアピールされてきたように感じます。

そして、ウェブビジネスならではの、より速い改善サイクルの必要性も。

このイベントの内容が、参加者をはじめとするみなさんのビジネスの改善に繋がりますよう。
 

リアル・アクセス解析の小川卓さんがTwitterの関連のつぶやきをまとめてくださいました。
http://togetter.com/li/143564

  • テキスト:いちしま泰樹  写真:八巻なつえ

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