【レポート】アナリティクスサミット2015 後編 (2015/4/23)

2015年4月23日、ベルサール汐留にてアナリティクスサミット2015が開催されました。合計11名の講演者にご登壇いただき、「勝利に導くアナリティクス」というテーマのもと、約7時間半にわたってお話しいただきました。また約300名のご参加をいただき、ありがとうございました。

このアナリティクスサミット2015の模様の後編は、リンナイ福本氏、ユーザーローカル本郷氏、すかいらーく神谷氏、ヤフー石井氏の各講演です(前編はこちら)。

アナリティクスサミット2015「勝利に導くアナリティクス」
主催:アナリティクス アソシエーション
協力:株式会社インプレス、Web担当者Forum
日時:2015年4月23日(木) 10:00~17:30
場所:ベルサール汐留

 

困難なメーカー直販を成功させる! 顧客の共感と社内の共感が鍵

リンナイ株式会社 福本啓史氏

第3部では、リンナイの福本啓史氏から、メーカー直販事業を推進し軌道に乗せたその取り組みについてお話しいただきました。

B2BメーカーがB2C向けにダイレクト販売を展開するにあたり、ブランド構築と消費者との関係づくり、社内他部門の理解が非常に大変だったと、福本氏は語ります。まずブランド価値の向上と消費者との接点構築について、様々な取り組みが紹介されました。

交換部品販売サイト「リンナイスタイル」では、消費者は実際に利用するガスコンロ等の機器にぴったり合う部品を購入でき、返品率も低いとのこと。その機器のページに寄せられる利用者のレビューは非常に数多く、一般のECであれば次の購入検討者に向けたレビューだが、メーカーECにとってそれは商品の改善要望であると言います。そのお客様のレビューを翌朝全社に共有する仕組みを作り、社内の情報循環を作ったとともに、リンナイに価値を感じてくれるお客様との関係性構築につなげられたと語りました。

サイトの利用者が増えるにつれて、より多様な分析やユーザー分析ができるようになり、分析から販促につなげたり、商品開発につなげた例も紹介されました。

社内の理解と連携について、eビジネス推進室への理解は当初は非常に低かった中、全社員との直接の接点を増やしていくことで改善していったとのこと。社内販売の積極的な増加、営業部門との協業、関連企業のサイト構築など、様々な取り組みと努力で克服していった様子を紹介し、メーカーECのキモはお客様との関係づくりと社内調整であると、力強く語りました。

これまでB2Bメーカーとして流通との関係を築いてきたが、これからは消費者との関係を深化させていかなければならないとし、講演を終えました。

リンナイ

 

ソーシャルメディア経由の流入を計測して自社トラフィックをアップさせる解析術

株式会社ユーザーローカル 本郷寛氏

ブリーフィングセッションでは、ユーザーローカルの本郷氏から、ソーシャルメディア経由の流入分析とツール「Media Insight」の紹介をいただきました。

近年、企業から「情報の流れが変わってきた」という声が聞かれるなど、ソーシャルメディア経由の流入が重要になってきました。そこで、ソーシャルメディアに向き合い、その特性理解や効果拡大のための分析手法を、いくつか紹介いただきました。また、新しくリリースしたツール「Media Insight」では、運営サイトのソーシャルメディアでの言及状況や傾向、その効果などを把握できるとし、そのメリットなどを紹介いただきました。

ユーザーローカル
「Media Insight」

 

アプリ300万ユーザーの行動データを企業の利益に結びつけるすかいらーくの挑戦

株式会社すかいらーく 神谷勇樹氏

第4部では、すかいらーくの神谷勇樹氏から、アプリの行動データからリアルビジネスをどう改善しているかという取り組みについて、お話をいただきました。

ガストで開始したスマートフォンアプリは、半年でダウンロード数が約300万に近づいたとのこと。その導入の背景には、広告宣伝費の費用対効果の改善や、キャリアが店舗配属からスタートすることに起因するマーケティング領域の人手不足の解決などがあったと言います。アプリ開始後、新聞広告との比較で費用対効果としてもクーポン利用数としても非常に良好に推移し、「ITはマーケティングのパワーを劇的に進化させている」と述べました。他要素もあるものの、グループ全体の昨対比をガストの昨対比が上回って推移するようになったとのことです。

従来は広告宣伝費を投じて売上を立てていたが、アプリ開始と同時に各媒体でもデータ分析を強化したと言います。チラシのクリエイティブのA/BテストやTV CMの反応の分析、経路別の顧客の定着率など、ネットでは広く行われているがこれまで実施されてこなかったデータ分析を強化することで、売上を立てつつ宣伝広告費の削減につなげられた取り組みが、紹介されました。ユーザー属性とその行動、食材や調理法といったメニュー属性の情報を組み合わせて分析し、メニュー開発に生かして販売数を増加させた事例も紹介し、データ分析強化が現在進行形で取り組まれる様子が窺えました。

神谷氏は、自身がそれまで在籍したネットの業界で広く行われていたデータ分析を応用したものだと話し、ネットの世界で腕を磨いた人もリアルなビジネスの改善が期待できる世の中になっていると、今後の分析者のキャリア展望について触れ、講演を締めくくりました。

すかいらーくグループ

 

マルチビッグデータ活用で拓くリアルタイムマーケティングの未来

ヤフー株式会社 石井充久氏

最後の基調講演では、ヤフーの石井充久氏から、Yahoo! JAPANが実現できるビッグデータ活用の世界をご紹介いただきました。

冒頭で石井氏は、ビッグデータを利用することの価値について問いました。市場を理解するためのアプローチは3つあり、「顧客に聞く」「顧客を見る」「顧客の気持ちになる」のうち、ビッグデータの領域は「顧客を見る」であると説明します。その上で、小サンプルだが網羅性の高い行動観察データと、カバレッジは広いが精度の粗いビッグデータの、両方の特性を踏まえて、顧客理解とインサイト獲得のためにとも活用すべきであると指摘しました。未来と欠損値の予測力が企業の競争力の源泉であるからです。

そして、ヤフーのビッグデータを活用した取り組みとして、人材会社での広告最適化の事例や、ヤフオクでのマーケティング予算配分の事例、航空会社でのブランド相関指標の把握の事例が紹介されました。

また、Yahoo!リサーチが5月にリニューアルすると案内。調査結果の分析データを元にYahoo!DMPでモデリングし、YDNやメール、レコメンデーションなどの施策に活用するという一連の流れが、よりシームレスにリアルタイムに実施できるという特長を紹介されました。

マルチビッグデータは大きな可能性を秘めており、リアルタイムで使うことでマーケティングはさらに進化していくとし、最後の基調講演を締めくくりました。

Yahoo! JAPAN マーケティングソリューション

 

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