【レポート】アクセス解析サミット2013 後編(コマースデザイン、MonotaRO、ビービット、米Adobe Systems)

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2013年5月15日、川崎市産業振興会館にてアクセス解析サミット2013が開催されました。合計10名の講演者にご登壇いただき、「顧客をつかむデータアナリティクス!」というテーマで、約8時間にわたってお話をいただきました。約300名の参加をいただき、ありがとうございました。

このアクセス解析サミット2013の模様の後編です。後編は、コマースデザイン、MonotaRO、ビービット、米Adobe Systemsの各講演です(「前編」はこちら)。

アクセス解析サミット2013「顧客をつかむデータアナリティクス!」
主催:アクセス解析イニシアチブ、財団法人川崎市産業振興財団
日時:2013年5月15日(水) 10:00〜18:00
場所:川崎市産業振興会館 1階大ホール

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ネットショップは「スモールデータで闘う総合格闘技」

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コマースデザイン株式会社 坂本悟史氏

コマースデザインの坂本氏からは、「一人EC店長」の多種多様な業務経験と一次情報への接触をいかに売り上げにつなげるかという、小規模事業体に向けたデータ活用の内容でした。

事業体は規模が大きくなると分業化が進み、組織の硬直化や部分最適に陥ることがあります。そのような中、ダメ経営の代名詞として捉えられる「勘、経験、度胸」は、小規模事業体にとっては全体を最適化させられる強みでもあるとします。お客様との直接対話からの経験やそこからの勘をはぐくむことは、組織になってからではなかなか困難であり、積極的な一次情報への接触を勧めます。

また、「お客様に聞いてざっくり分析すること」の重要性も挙げました。「誰がなぜこの商品を買ったのか」という売れた理由を調べることで、その商品が評価されているポイントが把握でき、それを訴求できるからとのこと。お客様のナマの声というデータをサイトに活かさなければならない、とします。

非常に軽快な語り口で笑いの絶えない講演ながら、非常に説得力のある内容が多い講演でした。

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アイテム数 300万点 B-to-Bのロングテール市場でお客様をつかむ取り組みと課題

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株式会社MonotaRO 橋原正明氏

MonotaROの橋原氏からは、工業用間接資材というB-to-B業界向けのロングテール商材を取り扱う中で、いかにお客様データを活用するか、というお話でした。

売り上げの8割がWeb経由ということもあり、商品アイテムを増やしてコンタクトポイントを増やし、定期的に売れるアイテムを増やして売れ筋に変えていくというのが戦略シナリオとのこと。

そのために、購買データと閲覧データの両方を活用して、ロングテール商品と顧客とのマッチングおよび売れ筋への転換を図っており、データ分析からサイトへの改善につなげている例もいくつか紹介されました。またその次のステップとして、顧客別のデータの把握でコミュニケーションの改善につなげたり、データのシステムやツールへの組み込みにも取り組んでいきたいとのことでした。

データとしては多く持ち合わせていたけれども、顧客視点での分析を加えることで大きく変化したという言葉が印象的でした。

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解析データからビジネス改善を思いつく! お客様をつかむ本当に見るべきデータとは?

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株式会社ビービット 垣内勇威氏

ビービットの垣内氏からは、改善につなげるためにアクセス解析として見るべきデータのあり方についてのお話をいただきました。

一般的な「理想のアクセス解析」は「大量データの分析からの改善インプット」である一方、データ量が莫大であることと企業の人材不足からそれは困難であると指摘、現実的には見るべきデータは絞り込むべきで、ツールへのログインよりもまず「事前の仮説立案」が重要であるとします。

続けて、「ゴール」「ユーザー」「導線」という3つの軸での分析手順が提示されました。最初に決めるゴール指標はWebのビジネス貢献に絞って決めること、ユーザーはサイト内行動で分類すること、また実際のユーザーにサイトを操作させる調査が有効であること、導線は経路分析ではなく他社比較を含めて課題を洗い出し、行動パターンの代表性をデータで検証することなど、様々な手法が提示されました。

運用業務でのデータ活用の側面では、「一番重要で必要なデータだけを見て、関係のないデータは一切見ない」という判断も必要とし、施策の改善のつながるデータこそが有益であると説きます。改善のサイクルを回すことが目的であり、分析のための分析は不要であると、改めて認識させられた講演でした。

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U.S.から見えた日本のアクセス解析

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Adobe Systems Inc. 清水誠氏

Adobe Systems Inc.の清水氏からは、彼の日米での経験をベースに「アナリティクス」やこれからの我々の進む道の提示といったお話をいただきました。

冒頭で、自身の息子とのやりとりをいくつか紹介します。子供の純粋な反応や行動から、専門家でも人の行動はわからない、だからデータドリブンが必要であると、非常に暗喩的な表現をしながら、先入観や習慣にとらわれない考え方の重要性を説きます。

清水氏によると、アメリカでは様々な領域の概念が「アナリティクス」という表現に取りこまれているとのこと。「Web Analytics」から「Digital Analytics」への変遷にも触れつつ、もっと能動的に、かつサイト視点から顧客視点へと視点を変えなければならない、そのためには他のデータとの連携も必要になっていると指摘します。その上で、データからアクションを起こすこと、データは次のアクションにつなげるための最初のインプットであるべきとし、あくまで改善のためのデータであるとします。

最後に、日本はまだ論理的に説明することや行動を起こすことが少ないと指摘、もっと明確なメッセージを発しそれを外部に積極的に伝えなければならないと、サミットの最後としてもふさわしいメッセージを残して講演を締めくくりました。

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「【レポート】アクセス解析サミット2013 前編」はこちら。

写真撮影:八巻なつえ