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教えるということは、教える者自身が学ぶということだと改めて感じています。

前職から独立・起業して1年半が経ちました。HR・Learning領域のデータ分析を主として事業を展開しておりますが、各所でのデータサイエンス関連のセミナー、関西学院大学ビジネススクールでの授業など、講師として教える側に立つことが増えました。前職時代も同様の機会は多々ありましたが、この1年半はその何倍もの機会を頂いています。そのなかにあって、改めて教えるということは学ぶことであると痛感し、日々の学びを振り返り意識することが増えました。講師自身が学ぶというのは主に下記の3つが挙げられるかと思います。

1)教材を準備する際に学ぶ
まずは教材の準備です。各回ごとのテーマに即したプレゼン用の素材や、実習を伴う場合はソースコードやデータ・セットを用意しますが、こちらの想定通りにデータ処理ができるかどうか、受講されるかたが躓きやすいポイントはどこかといった確認を行います。その過程で、教える際に大事なポイントを再確認し、何度も復習を行うことになります。学習にはある程度の反復が功を奏することがありますが、こういった繰り返しはそれに該当します。

2)異なる業界・業種などについて学ぶ
受講者の背景や習熟度に応じた講義内容のアレンジを行う事が多くあります。私は特にプレゼン時は複数の立場での活用ポイントや注意すべき点について触れるようにしていますが、これを行うには受講者の方々のビジネスの背景や、職種としての特性を把握する必要が生じます。データ分析の実行時もビジネスの背景について理解することは不可欠ですが、教える場合においても同様です。相手の立場に立った視点で語ることにより、相手の理解度は増します。様々な業界・業種や職種について調べ、まとめ、自分なりの言葉にするというのは、まさに学びです。

3)質疑応答で新たな知見を得る
講義の最中や終了後に、受講者の方々から様々なご質問をいただくことがあります。質問は、些細な指摘から思いもよらないことまで様々です。質問されるかたの視点ならではの指摘は、前述の業界・業種などのドメイン知識が必要なシーンにおいてが多いのですが、今後同様の場面で質問いただいた際の回答の参考とすることができます。

思いもよらない質問の場合は新たな学び、思考のチャンスです。一度持ち帰り後日回答ということも時々ありますが、その質問に答えられるように調べ、誤解されないように回答をまとめると新たな教材に発展することもあります。さらには、どのような質問でもできるだけ答えられるようになろうと自身での学習意欲が日々高まるという効果もあります。

教えることは学ぶことです。最近はそのこと自体もセミナーや授業ではお伝えするように心がけています。「学習したことを人に伝える、教えることで自分が学ぶことができる」そして「教えた人がそれをできるようになる」というのは、企業での組織作り、人材育成にも活かせることです。学んだ人がそれを伝え、教え、そのサイクルが様々なところでうまく回っていくことで組織や社会自体も成長していくことができます。私自身もその一端を担うため、学びの心を忘れずにいたいと思います。

コラム担当スタッフ

菅 由紀子

株式会社Rejoui
代表取締役

株式会社サイバーエージェント、株式会社ALBERTを経て、2016年に株式会社Rejouiを設立。DX推進支援、データ分析・利活用コンサルティング、データサイエンス教育事業などを展開。
統計ソフトRやPythonを活用した分析入門講座をはじめ、学生、企業、官公庁へ向けた統計・データサイエンス学習講座を提供。日本行動計量学会、WiDS TOKYO @ YCU、日本RNAi研究会等、数々の学会およびシンポジウムに登壇。自身がアンバサダーを務める人材育成の活動(WiDS HIROSHIMA)が評価を受け、2021年度日本統計学会統計教育賞受賞。

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