【メルマガコラム】Webアナリストは「小さなR&D」をしよう

いちしま 泰樹 発信元:メールマガジン2016年11月9日号より 真摯 いちしま泰樹

Webアナリストは、Webサイトやアプリ、そしてそれらが関与するビジネスの数字を取り扱うだけでなく、その一回り外側の世界を知るために「小さなR&D」をしていきましょう、というお話しです。インハウスで取り組んでいるのならもちろんのこと、支援する側としてクライアント様の事業に向き合っている場合でも、とても大事な取り組みです。

Webサイトをはじめとして、例えば流入やコンバージョンや利用状況の改善の取り組みをする際、中心に取り扱うのはまずはWebサイトなどの数字です。もちろんそこから何かを発見し、改善活動につなげられます。

しかし、物事には背景があります。仮に改善の効果が見られたとしても、大勢には影響がなかったり、刹那的なものだったり、違う角度から見れば芳しくない状況になっていることもあります。背景をより知っていれば、異なる分析結果や見解に至っていた場合もあるはずです。

ここでは、どのような取り組みができるのかを3つ挙げてみます。

◆1) 業界の状況や数字を知る
インハウスで自社の改善活動を行っている人には言うまでもありませんが、業界の状況や数字を知ることはとても重要です。その業界のニュースを積極的に取得したり、業界団体が定期的に発表する売上高推移といった数字をまずは追いかけたりするだけでも、理解は進みます。専門紙や業界雑誌、展示会が情報源として貴重な業界もあり、どこに情報が集まっているかを探る活動が必要です。

支援側としてクライアント様と向き合う場合、「表面的な理解では立ち回りが難しそうだな」「これは少し長い取り組みにしたいな/なりそうだな」というときは、積極的にその業界を知ることで、分析や改善提案に幅が出てきます。一般的に競合他社のWebサイトの分析を行うケースはあると思いますが、その業界全体の状況把握もしておきたいところです。

◆2) 主要な数字を長い期間で追い続ける
その企業や業界の主要な数字を、時系列で長い期間追い続けることです。昔に読んだ小宮一慶氏の書籍『ビジネスマンのための数字力養成講座』で、著者が日経平均株価をはじめさまざまな数字を、毎日、毎週、毎月、時系列で追って見ているというくだりがありました。無機質な数字であっても、日本経済の動きが手に取るようにわかるようになるとあり、それを読んで私も似たような取り組みを企業様の分析に取り入れています。

もし取り組みはじめであれば、少なくとも過去2~3年ぐらい、場合によっては10~20年はさかのぼって、現在に至る状況背景を理解できるようにしたいところです。その企業や業界を知る取り組みの一環で、どういった粒度で見るかはそのクライアント様に対する熱量や愛情(?)によって変わってきますが、月次やクオーターの数字からが取り組みやすいでしょう。

Webサイトの分析では2年前のトラフィックの数字と比較して云々ということは多くありませんが、業界やその企業の売上推移とセットで把握する際は、そういった分析も必要になってきます。

◆3) サービスや店舗を利用する、人に会う
積極的にそのサービスや店舗を利用することです。インハウスであれば競合のサービスや店舗も利用する必要がありますが、支援側として関わるのであればまずはクライアント様の「現場」を知ることが重要です。「利用してどうだったか」だけでなく、店舗であれば「利用している人たちは誰で、どういった反応か」を知ることができます。数字やWebサイトを見ているだけではなかなかわからない情報です。

また、その企業や業界の人たちと会う機会があれば、実際の現場の様子やお客様の反応をうかがえます。

アナリストは目の前の案件が多かったり、またどうしてもデスクワークが中心になりがちです。もちろんその中で結果を出すこともできるのですが、「一回り外側の世界を知ること」でより幅広い見解を持てるようになります。日々忙しい中、どれだけ「小さいR&D」を積み上げるかが、成長の鍵を握っていると思います。


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