コラムバックナンバー
メールマガジン2016年3月23日号より a2i代表 大内 範行
春になりGoogle アナリティクス関連でも、いくつかの新しい製品群が発表になりました。新しい製品が出れば、それについて学ばなければなりません。今日は学びについて考えてみたいと思います。
アナリティクス業界で仕事をしていると、「どうやって学べばよいのでしょうか?」「どうやって身につけてきたのですか?」という質問を受けることがよくあります。「学ぶというプロセスに、他人を入れる」ということが、学ぶ早道ではないかと私は考えています。経験上、その方法が二つありそうですので、それについて書いてみます。
一つ目の方法は、「学ぶそばから教えていく」「教えていきながら学んでいく」ということです。これは、すでに多くの人が言っているでしょうし、私自身の経験からも激しく実感することです。
大事なポイントは、学習の早い段階から、他者を巻き込むことです。「教えるのはちゃんと身についてから」と考えがちですが、あえて乱暴に言えば「ちゃんと身についてなくても教えちゃう」ぐらいの感覚で、他人に伝える作業をどんどんしていくことが一番です。
具体的には他人の質問に答える、自分の学んだ作業をレポートにして次の人に伝える、一連の質問がたまればそれを「よくある質問」にしてみる。思ったより数が増えたな、と思えば文書やサイトにして共有してみる、ということでしょう。
テストや資格が無意味だとは言いませんが、それが自分だけの学習にとどまる限り、実践では何の役にも立ちません。
もう一点付け加えると、「教える」は自分自身の成長も促します。「教える」行為は、逆に自分の足りないことろを、残酷なくらいあからさまにします。その痛みを伴う経験が、もっと学ばなければ、もっと実践的な経験を積まなければ、と自分を成長させていく原動力になっていきます。
二つ目の方法は、教えるのまったく逆、「質問をする」ことです。
質問の力や、聞く力については、私もまだまだ学びの段階です。ただ、私自身、書籍を書いたり、セミナーの講師を務めたりしながら、この質問の力は、自分の飛躍の原動力、よいものを作るための原動力になってきました。
また、新しくアナリティクスの世界に入ってきて、彼女や彼が成長していく姿を見ていると、上手に質問ができる人は、成長する速度が早いな、とも感じています。
質問の相手は、そのツールやサービス使ってメリットを享受する人です。そして、質問の形式はオープンクエスチョン(答えが「はい/いいえ」などに限定されないで自由に答えられる質問。5W1Hの6つの疑問詞を使う)です。「一番最初に何に使いたいですか?」「このツールを入れてどんなメリットが得られると思いますか?」「データが揃ったと仮定して、どんな改善を期待しますか?」
そんな質問をしてみます。
先ほどの最初の手法「学ぶそばから教えていく」は、情報を咀嚼して伝える、という点で効果的ですが、機能など「何ができるか」に偏りがちです。質問をすることで、この壁を乗り越えられます。
本当に学ぶべき点は、目の前の人にとって、このツールやサービスが、なぜ必要か、使った先にどんなメリットがあるのか、という点です。自分の得た情報が、その先の具体的なゴールやメリットに実感として紐づくと、学びが確信になり、実践へと進みます。これは通常の学習行為だけでは、たどり着きません。相手に質問をすることで、自分の学びの目的がより明確なゴールを持つことにつながります。
「学ぶ先から教える」「質問をする」この2つのプロセスを中心に、学習に他人を巻き込むことで、その速度が上がり、実践に使える力が身につきます。自分の立ち位置も他人の視点から明らかになり、成長へと前のめりに進んでいくことができます。
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